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歴史的建築と新しい建築はいかに調和するのか? 上海で新たに完成したロックバンド地区の再開発から考察する

上海の有数な観光地・外灘(バンド)の北の部分に位置するロックバンド地区。そこで、17年にわたってビルの改修と改築が完成した。それを記念し、今年のプリツカー賞を受賞した建築家デイヴィッド・チッパーフィールドがディレクターを務める第1回のバイアニュアル「RAM Assembles」が始まっている。

文=金澤韻 Images courtesy of Rockbund Art Museum

ロックバンド地区の俯瞰 撮影=田方方

 上海で、17年にわたってビルの改修と改築が行われたロックバンド地区の再開発が完成。このタイミングで、当エリアの中核を担うロックバンド美術館(Rockbund Art Museum:通称RAM)とロックバンドチームが共同で、建築的思考を称えるバイアニュアル「RAM Assembles」をスタートさせた。

 まずロックバンド地区の再開発について説明しよう。ロックバンド地区は、上海らしい風景として有名な外灘(バンド)の、北の部分に位置する約9万4000平米のエリアだ。黄浦江と蘇州運河の交わる地点に位置し、西は円明園路、東は虎丘路、南は北京東路、北は蘇州路に面している。開発主体はシノリンクとロックフェラー・グループである。ここには1896年から1932年にかけて建てられた11棟の歴史的建築物がある。上海のアール・デコを代表する、ヨーロッパの建築様式にアジア的要素が取り入れられたデザインが特徴だ。2000年代初頭、デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツは、これら11の歴史的建造物の修復とリノベーション、そして改築を依頼されたほか、ZAアンドリュース&ジョージ・ビルの全体的な建築デザインを任された。また、同時に5つの新築ビルをアメリカの建築会社アルキテクトニカが手がけた。

円明園路の様子 © ROCKBUND
アメリカの建築会社アルキテクトニカが手がけた新築ビル 撮影=田方方

 2023年9月22日には、RAM Assemblesのオープニングセレモニーとイベントが、新しくRAMの裏手にオープンした「ミュージアム・プラザ」と呼ばれる広場を主会場に開催された。RAM Assemblesは先述したとおり、ロックバンドの建設プロジェクトの完了を記念して立ち上げられた、2年に1度の建築的思考の祭典である。現代建築、都市、アート、デザインに関する幅広い領域を横断しながら、歴史的建築と新しい建築に関する多様な視点を提示していくという。毎回、RAMのアーティスティック・ディレクターである朱筱蕤(X・ジュー・ノウェル)とRAMチームが、芸術監督となる建築家を選ぶ。ほかに、RAM Assembles国際諮問委員会には、キュレーターの候瀚如(ホウ・ハンルゥ—)、同済大学建築・都市計画学部長の李翔寧(リー・シアンニン)、マサチューセッツ工科大学(MIT)芸術・建築理論教授のキャロライン・ジョーンズらが名を連ねている。

ロックバンド「ミュージアム・プラザ」の入口 撮影=田方方

 RAM Assemblesの第1回目のディレクターは、ロックバンド地区の建築プロジェクトを率いたデイヴィッド・チッパーフィールドが務めている。言うまでもないが、チッパーフィールドは今年、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した建築家である。オープニングにはチッパーフィールド自身が登場し、街区をツアーし、またフォーラムに登壇した。

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