なぜ美術大学に大規模な民具のコレクションが?
同大にこれほどの民具のコレクションが収蔵された背景には、宮本常一の存在がある。宮本が所長を務めた近畿日本ツーリストの「日本観光文化研究所」(1966〜89)によるおよそ2万点の資料と、宮本と学生らによって結成された「武蔵野美術大学生活文化研究会」(1966)が収集した資料が、今日におけるコレクションの土台となったのだ。現在は美術大学の収蔵品として、生活文化の造形のアーカイブとして、学生たちの授業やリサーチ等に活用されている。

民俗学者として知られる宮本だが、大学ではどのような取り組みを実践してきたのか。「第1章 民俗学者・宮本常一のムサビ時代」では、大学人としての宮本の活動と、学生らによるカリキュラムの枠を超えた活動を資料とともに紹介している。


本展の大きな特徴は、民具の資料展示に加えて、鑑賞者自らが参加することでより深い観察を促す参加型のプログラムが用意されている点にある。鈴木監修の「第2章 デッサンしよーぜ」は、NHK番組「みたてるふぉーぜ」のコーナー「デッサンしよーぜ」をもとにした参加型展示だ。民具の持つ造形的な特徴を、様々な視点で観察してみてほしい。

「第3章 民具のかたち百態」に並ぶのは、郷土玩具コレクションの華やかな「浜松凧」、そして多彩なバリエーションを持つ竹工芸コレクションの数々だ。同じフォーマットのなかでも様々な造形の違いが見て取れる。こうした比較をすることで、地域の特性や制作者の個性が初めてわかるのも、大規模なコレクションがあるからこそ実現することだ。




















