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「生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫 -その魂の召喚-」(茅ヶ崎市美術館)会場レポート。圧倒的な写実表現を極めた画家は、何を描き続けたのか【2/3ページ】

巨匠レンブラントへの憧憬

 展覧会は全5章で構成される。「序章:内面を見つめて -生涯のテーマ・自画像-」で紹介されるのは、牧野による膨大な自画像だ。展示室の冒頭、どのキャンバスを見ても牧野自身の顔が並ぶ光景には圧倒される人が多いだろう。「1日12時間描く」ことを己に課していた牧野にとって、自分という存在は、その目標に付き合える唯一のモデルでもあった。

牧野邦夫による自画像の数々。ここまで自画像の並ぶ展覧会も珍しい
《複製のある部屋》(1962)。本作は新鋭画家の登竜門であった「安井賞」に入選した作品でもある

 続く「第1章:描く対象を求めて -模索期・昭和30年代-」では、東京美術学校の卒業後、単独で制作活動を続けていた時期の作品が並ぶ。徹底した写実技法によって、独自の内面世界と自身の顔のイメージが一体となった、濃密な絵画世界を見ることができる。

 いっぽうで、自身の住んでいたアパートの室内をモチーフに、非現実的な情景を含ませた《複製のある部屋》(1962)は、若き日の牧野の暮らしぶりが垣間見える。本作は当時、新鋭画家の登竜門であった「安井賞」にも入選を果たしている。

「第2章:レンブラントとの対話 -開花期・昭和40年代-」の展示風景

 「第2章:レンブラントとの対話 -開花期・昭和40年代-」では、牧野が生涯にわたって敬愛したレンブラント・ファン・レイン(1606〜69)の影響が色濃く表れた作品に焦点を当てている。画集や書籍を通じてレンブラントへの想いを募らせていた牧野は、1966年41歳のときに経験したオランダを中心とする欧州旅行で、西洋の古典絵画の真髄に触れ、大きな刺激を受けた。この頃から自画像のみならず、物語絵や裸婦像へと画題が広がり、画家として表現の幅が劇的に開花していく様子も見受けられる。

編集部

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