スープと人との関係性を見つめる
本展は、たんにスープの完成図やレシピを紹介する展示ではない。スープという最小の食を糸口に、五感を通じて衣食住の根源に触れようとする試みとなる。そのコンセプトにもとづき、会場前半で展開されるのは、母体の鼓動に包まれるようなインスタレーション《はじまりのスープ》だ。このタイトルは、胎児を育む「羊水」を指しており、展示空間の前には、羊水の塩分濃度を示す0.9パーセントの塩が盛られている。


同施設でもっとも広い展示空間で目を引くのは、和紙と土を混ぜ込んだ「土紙(つちがみ)」でつくられた大屋根だ。この屋根は、太古の煮炊きや食卓の原風景を象徴している。屋根の下には、スープにまつわるエピソードを巡る食卓のような展示や、高度経済成長期の公団住宅のキッチンをモチーフにした「遊ぶ」展示などが展開されている。


また会場には、スープと人との関係を紐解く作品や映像インスタレーションも並ぶ。「野焼き」の器からスープが生まれる根源的な風景を表したものや、野菜からスープやテキスタイルが生成される工程を追い、「内と外から身体を包む」ことを可視化したもの、そして生命のあわいに必要とされる「重湯」のつくり方を器とともに紹介する映像作品などが展示されている。さらに、旅とともに形を変えてきたスープの在り方を、パッケージや広告の変遷とともに俯瞰する展示も興味深い。





















