レシピを自宅に持ち帰る
ここまで「スープそのもの」はあまり登場していないが、会場の各所には、作品と連動したスープのレシピが記されたポストカードが設置されている。エピソードとともに綴られたこのカードを参照しながらスープをつくれば、鑑賞者が実際に自宅でスープをつくって口にする際、知覚と味覚の双方からその身を包み込んでくれるはずだ。

展覧会では一般的に、大きなテーマに対して作家たちのアプローチを紹介する形式が多い。しかし本展は発想を変え、スープという極めて具体的な料理から、人間の生命や暮らし、文化的な表象、そして日々のレシピに至るまで、ミクロとマクロの視点を縦横無尽に横断している。鑑賞者の視点を遠近様々な位置に誘導しながら、思考を加速させてくれる構成だと感じた。会場で持ち帰ったレシピを自宅で実践しながら、スープがつなぐ広大な世界に思いを巡らせてみてはいかがだろうか。




















