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「ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-」(国立工芸館)開幕レポート。華やかなフランス装飾美術の世界に浸る【4/4ページ】

第3章「時代とともに ラリックとアール・デコ」

 第3章「時代とともに ラリックとアール・デコ」では、アール・デコ様式の影響が見られるラリックの作品が紹介されている。装飾的なアール・ヌーヴォーの流行が徐々に落ち着いてきたタイミングで、シンプルかつ幾何学的なデザインを特徴とするアール・デコが好まれはじめる。ラリックもこの流行を受け、量感のあるダイナミックなデザインや、魚や鳥など生き物を抽象化したモチーフを用いた作品を手がけた。会場に展示されている《花瓶 オラン》(1927)もそのひとつ。宝石のオパールのように見えるオパルセント・ガラスを用いた花瓶となっている。このガラスは光によって色合いを変える点が特徴的なため、会場では全方向から見られるように展示されている。

展示風景より、ルネ・ラリック《花瓶 オラン》(1927) 26.6×27.5cm 井内コレクション(国立工芸館寄託)
展示風景より、ルネ・ラリックが手がけた香水瓶

 また新しく誕生した交通手段である自動車に注目が集まるなか、自動車を彩るための装飾品も誕生する。ラリックは高級車のボンネットの先端につけるカーマスコットをガラスで制作した。スピード感を感じさせるデザインは、アール・デコにおける美意識を受けた表現といえるだろう。

展示風景より、ルネ・ラリック《カーマスコット 勝利の女神》(1928) 15.8×24.7×6.5cm 井内コレクション(国立工芸館寄託)

 本展の特徴として特筆したいのは、照明へのこだわりだ。ガラス作品が多い本展では、照明でその材質をどのように表現するのかが重要となる。本展では、照明デザイナーによるライティングによって、ガラスの透光性の魅力を存分に味わえるような工夫がなされている。様々な角度から作品を見ることで、光の入り方による表情の違いに着目してほしい。

展示風景より、ルネ・ラリック《花瓶 ランピオン》(1927) 12.8×11.7cm 井内コレクション(国立工芸館寄託)

 なお本展のアンバサダーには、数々の衣装デザインを手がけるデザイナー・アーティストの篠原ともえが就任。篠原は、展示作品の《花瓶 オラン》からインスピレーションを得て、石川県能美市で織られた生地を使ったドレスを本展のために制作した。また、篠原は会場1階で見られるラリックの紹介動画のナレーションも担当している。篠原は次のような言葉を展示に寄せた。「本展は、様々な作品を通して当時のフランスの装飾美術全体を体感することができるもの。作品と目を合わせるようにじっくりと鑑賞しながら、心ときめく時間を過ごしてほしい」。

ルネ・ラリックの《花瓶 オラン》からインスピレーションを得たドレスを纏う篠原ともえ

 アール・ヌーヴォーからアール・デコへの変遷をたどりながら、ルネ・ラリックの作品、さらにはフランス装飾美術の世界に浸ることのできる本展。一つひとつの作品にゆっくりと向き合いながら、その輝きを存分に堪能してほしい。

編集部