3がつ11にちをわすれないために
東日本大震災について向き合い、考えてきた「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(略称:わすれン!)。その取り組みを紹介する企画展「星空と路—3がつ11にちをわすれないために—」が、宮城・仙台のせんだいメディアテークで開催されている。会期は4月19日まで。担当はせんだいメディアテーク 企画・活動支援室の北野央。
2011年5月、震災の痛みを見つめ、ともに考える場として開設された「わすれン!」。ここでは市民や専門家、アーティストなど、立場を超えた一人ひとりが参加者となり、それぞれの視点で捉えた出来事を記録し、多様なかたちで発信を続けてきた。
企画シリーズ「星空と路」は、センターの開設以来、毎年3月に実施されており、今年で15回目を迎えた。タイトルにある「星空」は、震災直後の停電の夜、見上げた空に広がっていた美しい星々に由来していると、北野は教えてくれた。会場では、参加者による記録の展示やイベントのほか、これまでに蓄積された記録をこれからの未来にどう活かしていくか、その試みについても紹介されている。

震災から15年を迎えた取材日の3月11日、会場には多くの人が足を運び、あの日を思い起こすようにゆっくりと展示を巡っていた。ここでは、この15年間に「わすれン!」の参加者が展開してきた数々のプロジェクトの一部をたどることができる。

例えば、東日本大震災と地域の歴史を後世に伝え残すため、資料の収集・保存・利活用を行う市民団体「3.11 オモイデアーカイブ」は、震災翌日の食事の記録から、当時の状況とその後の暮らしを伝える「3月12日はじまりのごはん」を展示。写真を撮影したいきさつとともに、その裏側にあった撮影者の感情にも深く触れる内容となっている。

写真に多くの付箋が貼られた展示は、同団体による「まちなかの距離感 ─2011年と2020年の仙台─」だ。2011年の東日本大震災と2020年のコロナ禍という異なる困難下における仙台市内の風景を並べることで、それぞれの類似点や相違点を、人々のエピソードとともに比較している。

さらに、2023年から館内に設置されている、震災に関する「インタビューシート」も公開されている。ここでは、回答者の当時の年齢や状況、その後の歩みなどが綴られており、同じ震災を経験していても一人ひとりが異なる記憶を持っていることが可視化されている。また、東北以外に住む人々の体験談もあわせて紹介されており、震災がいかに広範囲の人々の日常を揺るがしたかが、物理的な距離感とともに立ち上がってくる点も興味深い。


「わすれン!」における個人の活動も一部紹介したい。津波被害で多くの児童と教職員が犠牲となった石巻市立大川小学校について記録し続ける佐藤敏郎さんの「大川小学校とことば」や、自閉症の子を持つ橋本武美さんが、自身の経験や同じ状況にあった家族への聞き取りをまとめた「3.11 あのときのホント」など、切実な個人の声も展示されている。

なお、同施設の2階には、震災の記録を展示する「わすれン!資料室」が2022年より常設されている。
中央の可動式展示「アーカイヴィーグル」には被災地の写真やウェブ記事が収蔵され、来場者は能動的に情報にアクセスできる。また、併設された「わすれン!録音小屋」では、自身の震災体験を音声として記録することも可能だ。誰もが情報を語り、書き残すことができるこの資料室にも、ぜひ足を運んでもらいたい。

15年前から、私たちは毎年3月11日に震災のニュースを目にする。しかし、3月11日はたんなる記号ではなく、いまも続く我々の生活とつながっているということが、個人の体験談を通してより鮮明に伝わってくる。
同日の14時46分、館内放送に従い、その場にいたすべての来場者が足を止め、静かに目を閉じ、1分間の黙祷を捧げた。あの日起きたこと、失ったものや人、そしていまなお続く日常。展示を見たあと、筆者も自身が経験した震災の記憶を反芻しながら、仙台の地で祈りを共にした。
*本記事の写真は1F オープンスクエアでの展示風景。現在は、7F ラウンジ・スタジオaで4月19日まで展示が行われている。





























