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「能登とartists 能登とともにある、アーティストの思考と行動」(そごう美術館)開幕レポート。アーティストと見つめる能登の現在とこれから【2/4ページ】

あの日を忘れず、再び立ち上がるために

 冒頭の「揺れる」セクションでは、髙橋稜(2002〜)の染色作品が来場者を迎える。機織り技法を用いて制作された7つのタペストリー《What Happy Days!!!》(2024)には、髙橋が過ごしてきた時間の流れが反映されている。所々には自身の日常が羊毛フェルトで記録されており、工業としての機織りの先に豊かなアイデンティティが宿る。

 《What Happy Days!!!》の向かいには緊急地震速報のテレビ画面を模した刺繍作品《あの日みたもの》(2024)を配置。日常の暮らしを突如襲った震災の恐ろしさを伝え、被災の事実を忘れないという強い意志を感じさせる。

髙橋稜による7つのタペストリー《What Happy Days!!!》(2024)と、テレビ画面の作品《あの日みたもの》(2024)
髙橋稜《What Happy Days!!!》(部分、2024)。縦糸と横糸の色はそのままに、1マスごとに織り方を変えることで、色面の変化や立体感を生み出している

 続く「芽吹く」では、高橋治希(1971〜)の陶磁器作品《伏流水の庭ー能登・黒島地区 海岸隆起の雨ー》(2026)が暗闇に浮かび上がる。輪島市黒島地区の被災後に流れ込んだ真水から、新たな植物が芽吹く様子を表現した本作は、繊細さゆえに、人のいのちや営みの儚さを強く想起させる。

高橋治希《伏流水の庭ー能登・黒島地区 海岸隆起の雨ー》(2026)
高橋治希《伏流水の庭ー能登・黒島地区 海岸隆起の雨ー》(部分、2026)