六甲ガーデンテラスエリア
六甲ガーデンテラスエリアは、六甲山の山頂付近、標高約880メートルに位置する日本有数の眺望スポットだ。ここには西野達の2つの作品がある。《独り立ち》は六甲山に置き去りにされた古い電灯を車道に移動し、歩道を歩く人を照らすように設置した作品。《逃げたくても、逃げられやしない》は六甲ガーデンテラスの横断歩道をシマウマに見立て描いた作品だ。どちらも一夜で片付ける必要があったため写真作品となって展示されている。

みよし観音エリア
六甲全山縦走路の途中に位置する森林の中にある会場が、みよし観音エリアだ。
その入り口で圧倒的な存在感を放つのは、佐藤圭一の《じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった。》。2013年のUBEビエンナーレで発表され石見美術館賞を受賞した本作は、2023年の本芸術祭を契機に六甲山に移設、展示されている。作品タイトルの通り、鼻の穴をのぞくと宇宙(を模した空間)が広がる。なぜじいちゃんの鼻の穴なのか、など疑問を持ち始めたらキリがないユーモラスな作品だ。

かつて茶屋があった場所に、様々な模様を組み合わせた絵画が組み合わさった、マイケル・リンの《Tea House》が設置されている。戦国時代に布で陣地を囲った「陣幕」に着想を得たこの作品は、自らの手で居場所を築く力や、伝統を残しながら異なる文化を受け入れる寛容さを表している。

森のなかで涼しげな心地の良い音が響く。山田愛の《永遠なる道》という作品だ。サヌカイトと呼ばれる約1300万年前に生まれた瀬戸内海で産出される石を、インフィニティの形に敷き詰められた作品。本作の上を歩くことができ、かつて命をつなぐために必要だとされた石器であった石の音にゆっくりと耳を傾けることができる。




















