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特別展 「小沢剛の讃岐七不思議」(香川県立ミュージアム)開幕レポート。独自の視点で切り出す知られていない讃岐の姿【3/6ページ】

 「二の不思議」では、同館所蔵の重要美術品である《一角印籠》にある細かい模様を、油粘土を使い手作業で拡大版を制作したものが展示されている。何倍にもなった模様を目の前にすると、印籠に彫られたその模様との印象はまったく異なり、まるではじめてその細密な世界を「見ることができた」かのような感覚を覚える。

展示風景より、玉緒象谷 《一角印籠(重要美術品)》(1839) 
展示風景より、小沢剛 《一角印籠を可視化してみた》(2025) 

 小沢の制作には、ときに作家以外の人も関わることがあるが、「三の不思議」では高松市内にある城東保育園に通う子供たちとの共同制作の作品が紹介されている。香川県指定有形文化財「高松松平家博物図譜」のうち《衆鱗図》全4帖を子供たちに模写してもらい、その後それらの絵を小沢が模写する。模写された魚が実際に生息している海の深さに基づき高さを変えて展示される作品は、有名な瀬戸内の歌の譜面を模しているとのこと。展示方法からも、小沢が抱くこの土地へのリスペクトが表れていると言えるだろう。

展示風景より、《衆鱗図 第一帖(香川県指定有形文化財)》 18世紀
展示風景より

編集部