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特別展「石田尚志 絵と窓の間」(高松市美術館)開幕レポート。多層的な作品展開の背景を紐解く【3/6ページ】

 ここから石田の多様な作品展開を追っていくことになる。本展のタイトルにもなっている《絵と窓の間》は、ドローイング・アニメーションを用いている。様々な時間軸を重ねることで、自分が今まで見えていなかった四角形を見つけるという行為を実践した作品だ。本作は、映像の一部を切り出し引き延ばしたものを映写機で反転させるなど、複雑に展開させている。

展示風景より、《絵と窓の間》(2018)

 つづいて、空間に描くという行為に挑戦した立体作品である《庭の外》や、1980年代〜2024年のドローイングとスケッチが展示される。

展示風景より、《庭の外》(2022)
展示風景より

 複数の作品が展開されている最後の会場では、インスタレーション作品群のきっかけとなった作品《弧上の光》も展示されている。青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC]での個展で発表されたものだ。

 移りゆく光のなかで絵画が描かれる会場風景を映像化した本作は、会場が広すぎるあまり、キャンバスに近寄って描いた後、三脚までキックボードで戻りシャッターをおす、という動きを繰り返すことで完成させたという。その瞬間の光をとらえようとする石田の強い意志を感じられるエピソードだ。

 この制作過程を正面から撮った映像は、完成した絵画と同じサイズの白いキャンバスに投影されている。会場風景の映像、キャンバスを正面からとらえた映像、そして描かれた絵画の3つが会場に並ぶ。

展示風景より
展示風景より、《弧上の光》(2019)