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特別展「石田尚志 絵と窓の間」(高松市美術館)開幕レポート。多層的な作品展開の背景を紐解く【2/6ページ】

 会場に入ると、石田の制作のルーツを紐解く作品が並ぶ。なかには中学3年生のときに東京で描き始めた初期の作品も展覧されるが、「破壊と創造が繰り返される東京という場所に当時は辟易としていた」と石田は語る。

 しかし、窓が描かれた《バベルの塔》や、時間を描きたいという気持ちから生まれた長さ40mを超える絵巻状の《絵馬》など、いまの作品につながるモチーフや制作方法がこの時点ですでに登場していることは興味深い。

展示風景より
展示風景より、《絵馬》(1990)

 つづく隣の部屋には、映像や立体などの様々なメディウムによる作品展開を経て、もう一度原点に戻ってきたという現在の石田が描く平面作品が並ぶ。展覧会の冒頭に、最初期と最新の石田の作品があえて隣り合わせに並置されることの意味を考えたい。作家人生をたんなる時系列でたどらせるつもりはないことは確かだ。

展示風景より