タイルカーペットを剥がし床を露出させ、可動壁を排除した大きな展示室は、今回のハイライトと言っていいだろう。ここでは左右両側に展示された2つの平面作品が中心となる。それらは、近年Nerholが取り組む帰化植物(本来の自生地から人間の活動によって他の地域へ運ばれ、野生化した植物)を題材にしたものだ。
《Hidden Crevasse》(2025)は、牧草として輸入され、明治以降に日本に定着していったシロツメクサを題材にしたもの。作家が撮影した数十秒のシロツメクサの動画から2万枚もの静止画を出力して手作業で裁断した断面が、横方向で積層して提示された。人間の知覚を超えた情報量を目の当たりにすることができる。静止画の積層を彫るというこれまでの造形行為から続く、新基軸と言えるシリーズだ。






















