「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」(埼玉県立近代美術館)開幕レポート。Nerhol(ネルホル)新章の幕開け【2/5ページ】

 展示冒頭にある円形の什器に展示されたインスタレーション《carve out》(2023)は、エドワード・マイブリッジによる連続写真を素材としたシリーズ作品。壁面ではなく、ゾートロープから着想された円形什器を囲むように36点が展示されており、回りながら見るという鑑賞者の能動的な行為によって作品との関係が構築される。

展示風景より、《carve out》(2023)

 通常ガラスを閉じて使われることが多い、波打つようなファサードに面した展示室。その床には、《Connecticut》(2025)が散りばめられた。2022年から珪化木を素材に用いてきたネルホルは今回、新たな展開として、その切断面に溶かした錫を流し入れ、年輪を金属によって覆い隠した。金属面は鑑賞者を含む周囲の光景をそこに映し出し、長い年月を蓄積してきた珪化木といまが接続する。

展示風景より、《Connecticut》(2025)

編集部