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「加藤泉 何者かへの道」(島根県立石見美術館)開幕レポート。過去最大規模の個展でたどる表現の変遷【3/4ページ】

 チャプター2には、加藤の30代に当たる2000〜08年の作品が並ぶ。加藤は30代になる頃からそのモチーフを「人」に定め、作品名をほぼすべてを《無題》とするようになった。また2003年頃からは木彫も始めており、これが画面の中における人と背景の関係を考えるきっかけとなったという。

「何者かへの道」チャプター2展示風景より
「何者かへの道」チャプター2展示風景より

 チャプター3の主役はソフトビニール(ソフビ)の彫刻だ。ソフビは加藤が子供の頃から慣れ親しんだ玩具であり、その柔らかな質感ゆえに、絵画と彫刻の中間のような表現が可能になったという。

「何者かへの道」チャプター3展示風景より
「何者かへの道」チャプター3展示風景より

 2020年に始まったコロナ禍によってスタジオに籠った加藤は、プラモデルづくりに熱中した。それらは加藤の立体作品と見事な融合を果たし、新たな展開を見せるようになる。会場には実際のプラモデルのパッケージや、加藤オリジナルのプラモデルも展示。

 またチャプター4以降は、2024年までに制作された近作が並び、いまなお止まることがない加藤の進化を示している。

「何者かへの道」チャプター4展示風景より
「何者かへの道」チャプター5展示風景より