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特別展「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(大阪市立美術館)開幕レポート。家族の強い絆と意志が紡いだもの【7/8ページ】

 最後の第5章「コレクションの充実 作品収集」では、フィンセント・ファン・ゴッホ財団の拡充され続けているコレクションに注目したものだ。1980年代後半から1990年代前半にかけて、寄付や寄贈も受けながら、ときにはファン・ゴッホ作品が加わることもあったという。

 なかでも、フィンセント・ファン・ゴッホの手紙である「傘を持つ老人の後ろ姿が描かれたアントン・ファン・ラッパルト宛ての手紙」は、ファン・ゴッホがブリュッセルで出会った先輩画家であるファン・ラッパルトに宛てた手紙だ。ファン・ゴッホの手紙には質の悪い紙が使われていることが多く、また色褪せしやすいインクで書かれているため、実物が展示されることはめったにない。今回の出品は極めて貴重な機会だといえる。

展示風景より、フィンセント・ファン・ゴッホ 「傘を持つ老人の後ろ姿が描かれたアントン・ファン・ラッパルト宛ての手紙」 (1882年9月23日頃) ハーグ ペン・インク、紙 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

 またフィンセントに影響を受けたという後世の作家の作品もコレクションしており、あらゆる角度から広く深くフィンセントを理解し、彼にまつわるすべてを守り繋いでいくという財団の強い意志と柔軟な姿勢が伝わってくる。

展示風景より、モーリス・ド・ヴラマンク 《ナンテールのセーヌ川》 (1906-07) 油彩、カンヴァス ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

編集部