「ゴミうんち展」(21_21 DESIGN SIGHT)開幕レポート。見えないものの存在から新たな可能性を探る【2/3ページ】

 ギャラリー1に出現したのは、なんと「糞驚異の部屋」。ここでは、本展で提示される「ゴミうんち」という新しい概念について、少し視点を変えてとらえる機会が創出されている。古代エジプトにおける「フンコロガシ」の存在や日本のトイレにおける歴史・文化の変遷、微生物の「排泄」によって起こる発酵など、様々な事例やそれと関連した問題提起を通じて、根本にある「循環」の考え方にフォーカスするものとなっている。

展示風景より、「糞驚異の部屋」。本展アートディレクションは岡崎智弘、会場構成は大野友資 (DOMINO ARCHITECTS)
展示風景より、「糞驚異の部屋」

 ギャラリー2では、ものは「どこから来たのか」そして「どこへ行くのか」を意識したコンセプトで各制作者によるプロジェクトが構成されている。例えば、採集・デザイン・超特殊印刷を主な領域とする𠮷田勝信のプロジェクト「Observing Looping Doodling」では、近隣の山から採集した植物でインクを生成し利用。さらに、印刷の過程で発生したゴミを用いてキノコを栽培するなど、自身の制作活動と生活を循環させることを試みている。

展示風景より
展示風景より、𠮷田勝信「Observing Looping Doodling」
展示風景より、𠮷田勝信「Observing Looping Doodling」

 狩野佑真による、新たな着眼点から素材を生み出す2つのプロジェクトを紹介したい。まずは、錆の美しさを様々なプロダクトへ落とし込むことを実践してきた狩野による「Rust Harvest|錆の収穫」だ。これは、錆を自ら育てる新しい方法に挑戦するもので、生み出された錆はアクリル板に転写されている。錆の豊かな色合いやテクスチャーが非常に魅力的だ。

展示風景より、狩野佑真「Rust Harvest|錆の収穫」
展示風景より、狩野佑真「Rust Harvest|錆の収穫」(一部)

 もうひとつのプロジェクト「Forest Bank」は、地面に落ちていたり捨てられてしまうような枝葉を拾い集め、水性アクリル樹脂と一緒に固めて削り出すことで新たな素材としての活路が見出されるというものだ。今回はミッドタウン敷地内の剪定作業で発生した廃材を用いて出展されている。

展示風景より、狩野佑真「Forest Bank|Made in TOKYO MIDTOWN」
展示風景より、狩野佑真「Forest Bank|Made in TOKYO MIDTOWN」(一部)

編集部

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