「ゴミうんち展」(21_21 DESIGN SIGHT)開幕レポート。見えないものの存在から新たな可能性を探る【3/3ページ】

 21_21 DESIGN SIGHTの中心部には三角形の屋外スペースが存在するが、本展ではここにveigによる「漏庭」が出現している。遮蔽物で影をつくることは人間にとっては木陰となるが、はたして周辺の環境にはどのような影響が出るのだろうか。そういった問いを起点に、本展では庭の空中に遮蔽物をつくり、その下に何種類もの植物を植えているという。会期中にその景観がどのように変化していくのか、見届けたいプロジェクトだ。

展示風景より、veig「漏庭」

 井原宏蕗は、ある動物の糞を採集し、それらを用いてその動物のかたちを成形し、釉薬や漆を用いて固めている。動物によって異なる糞の形状が見られるほか、その身体をつくり上げるものと排泄されるものが切り離せない関係であるとをあらためて認識させられるような作品であると感じた。

展示風景より、井原宏蕗《cycling -dead or deer-》

 グラフィック・パッケージデザイナーの清水彩香は、紙を用いるデザイナーという視点から「プラスチックは悪、紙は善」という認識が本当にそのように単純なものなのであるのか、という疑問について向き合い、そのリサーチ内容をInstagramのアカウント「Lab. for E.G.」で発表し続けている。クリエイターとしても目を背けることができない環境問題。自身が生み出すものに責任を持っていくためにも、清水の姿勢は誰しもが見習うべきものだろう。

展示風景より、清水彩香「グラフィックデザイナーと環境問題」

 なお、関連イベントとしてトーク「ゴミうんちを考える」(10月20日)が実施されるほか、Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024の一環としてはトーク「都市の緑を歩く:建築家・造園家・研究者と散策する東京ミッドタウン」(10月26日)も予定されている。詳しくは公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

編集部

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