Tokyo Contemporary Art Award 2026–2028、受賞者は潘逸舟とやんツーに決定

東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が実施する現代美術賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」の第6回受賞者が、潘逸舟とやんツーに決定した。

 2018年の創設以来、国内外での活躍が期待される中堅アーティストを対象に、複数年にわたる継続的な支援を行ってきた東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が実施する現代美術賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。その第6回受賞者が、潘逸舟やんツー決定した。

 潘逸舟は1987年上海生まれ、東京都在住。2025年東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程修了。映像やパフォーマンス、インスタレーションなど多様なメディアを横断しながら、移住経験や身体感覚を起点に、個と他者、共同体の関係性を探ってきた潘。詩的かつエッセイ的な表現のなかに、歴史や現代社会への批評的視点を織り込む作風が高く評価された。選考では、動機と主題、作品群が強く結びついた「作家のシグニチャー」が明確である点が受賞理由として挙げられている。

潘逸舟 あなたと私の間にある重さ 2023
「BEYOND GLITCH:壊れた世界で現実を描き直す」展示風景(国立京都国際会館、
2023) 撮影=守屋友樹
潘逸舟 波を耕す 2024 シングル・チャンネル・ビデオ

 いっぽう、やんツーは1984年神奈川県生まれ、同県在住。2009年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域修了。美術制度やテクノロジーに内在する暴力性や政治性を、装置やインスタレーションを通して可視化してきたアーティストだ。自動描画装置や発電機を用いた作品など、技術の利便性の背後にある構造的問題を軽やかなユーモアとともに提示する。その問いの普遍性と、今後の展開可能性が高く評価され、今回の受賞につながった。

やんツー TEFCO vol.2 ~ アンダーコントロール~ 2023
「MOT アニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」展示風景(東京都現代
美術館)
撮影=木暮伸也
やんツー 永続的な一過性 2022
「六本木クロッシング 2022 展:往来オーライ!」展示風景(森美術館、東京)
撮影=竹久直樹

 今回の選考委員は、ホセリーナ・クルス(マニラ現代美術デザイン美術館(MCAD)ディレクター兼キュレーター)、近藤健一(森美術館 シニア・キュレーター)、高橋瑞木(CHAT 館長兼チーフキュレーター)、野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、レズリー・マ(メトロポリタン美術館 ミン・チュー・シュウ&ダニエル・シュー 近現代美術部門 キュレーター)、近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)の6名。選考委員長の高橋瑞木(CHAT館長兼チーフキュレーター)は総評で、次のように述べている。

今回は参加したアーティストたちによる、真摯で正直なプレゼンテーションや質疑応答に選考委員全員が心を動かされた選考会でした。自分がどこから来て、アーティストとしてどのように社会に関わっていくのかという切実な問題に、テクノロジーやジェンダー、日本の近代史、周縁化された人々の声を手がかりに立ち向かう姿勢が顕著に表れ、率直に彼らの作品によって表現されていました。そのいっぽうで、各アーティストの視覚言語や、彼らのコンセプトを補強する思想や言葉の独創性はやや希薄で、既視感があったり、借り物の印象が拭えない感もありました。おそらく彼らもそのことを自覚しており、突破口を探しているのではないでしょうか。中堅のアーティストを支援する本賞の選考会が、彼らが今ひとたび自分が築き上げてきた表現世界を振り返り、自分のコンフォタブルゾーンから飛び出し、次のステップに挑戦する機会となったならば幸いです。

 受賞者に対しては、賞金300万円のほか、海外での活動支援や、東京都現代美術館での展覧会およびモノグラフ(作品集)の製作など、複数年にわたる継続的な支援が行われる。なお3月4日には授賞式および受賞記念シンポジウムが東京都現代美術館で開催される。

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