「せきらら」な絵日記とは? 「CAF賞2020」最優秀賞受賞者スピリアールト・クララの個展が開催へ

「CAF賞2020」最優秀賞の受賞アーティスト、スピリアールト・クララの個展が東京・六本木にある現代芸術振興財団で開催される。会期は2月5日〜3月26日。

メインビジュアル

 「紋章」の作品で「CAF賞2020」最優秀賞を受賞したスピリアールト・クララの、日本では初となる個展「くらら せきらら」が、2月5日〜3月26日の会期で東京・六本木にある現代芸術振興財団で開催される。

©︎ Clara Spilliaert

 スピリアールトは1993年東京都生まれ。2009年より、父親の出身国であるベルギーへ留学し、ゲントの美術大学LUCA School of Arts大学院修了後、同市を主な拠点として活動している。留学当初より描きはじめた絵日記が、本展の中核をなす。

©︎ Clara Spilliaert

 自身の文化的背景から、時代や地域を超えてのアイデンティティ形成におけるシンボルの役割に興味を持つ。絵日記はその探求の出発点だった。8年間かけて描いた、68冊、約4500枚の絵のなかには、後の作品で扱うモチーフの原型が散りばめられている。

©︎ Clara Spilliaert

 これまで、映像、刺繍、壁画、大型インスタレーションなどの様々な表現による作品を手掛け、18年より粘土を用いた立体作品の制作を始める。「陶芸」と「ドローイング」のあいだを行き来しながら、セクシュアリティ、信仰、自然と人間の関係などへ制作のテーマを展開している。

©︎ Clara Spilliaert

 主な展覧会は「SEKIRARA」(LLS Paleis、アントワープ、2022)、「Rising Stars展」(Ginza ATRIUM、東京、2021)、「Publiek Park」(Vrienden v/h S.M.A.K.、 ゲント、2021)、「CAF賞2020」(東京、2020)、「Moving Word」(Art Cinema OFFoff、ゲント、2019)など。

©︎ Clara Spilliaert

 会期中のイベントとして、スピリアールトの表現活動を10年来垣間見てきた写真家/写真研究者・小池浩央との対談がライブ配信される。絵日記、水、性、鳥など様々なテーマについて語り合う予定だ。

スピリアールト・クララ

 また、同個展にあわせ銀座蔦屋書店にて、画集『くらら せきらら』(MER.books出版)が展示・限定販売(50冊)される。膨大な絵日記のなかから240枚が厳選され、ベルギーの詩人Delphine Lecompteによる序文が添えられている。同画集はOIL by 美術手帖でも購入可能。

画集『くらら せきらら』(MER.books出版)

 なお本展は、スピリアールトの受賞した、公益財団法人現代芸術振興財団主催の「CAF(Contemporary Art Foundation)賞」の最優秀賞の副賞として行われるもの。CAF賞は、学生を対象に若手アーティスト育成を目的として2014年より毎年実施しているアートアワードで、最優秀賞受賞者には賞金100万円のほか、副賞として個展開催の機会を提供している。

編集部

Exhibition Ranking