必見は「獸」
また今年は、会場が科学技術館に隣接する北の丸公園第一駐車場へと拡大。「EE_Park」と題した展示が広がる。ここは東京をはじめ、能登やアジア各地など、ローカルな文脈から立ち上がる新たなアートの実践を紹介するもので、入場無料となっている。アートフェアをより多くの人々に開く試みだ。
なかでも存在感を放つのは、若手を中心としたアーティストコレクティブ・GCmagazineによるインスタレーション《TURN OFF THE 5 PARADIGM LIGHTS》だろう。本作は、真夏の鈴鹿サーキットを手押しで一周するパフォーマンスと、その過程を記録した映像・写真を軸に構成されており、パフォーマンス中に撮影された写真でラッピングされた車両と、カラーチャート機能をもつ特製レーシングスーツを用いて、「写真における過程や労働の価値」を問いかけるものだ。

またこちらは有料となるが、都市と青年をテーマに制作を続けるアーティストGILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEによるアートプロジェクト「獸(第 3 章 / EDGE)」は必見だ。
建築コレクティヴ「GROUP」が手がけた会場は、約6万本のススキと全長15メートルの人工の土手、そして小川が流れる壮大な“インスタレーション”。GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEの多摩川の原体験を再現したというこの場所を舞台に、映像作品の上映や、様々なアーティストによる連続的なパフォーマンスなど、ジャンルを越境する表現が会期中絶えず展開される。要注目のプログラムとなっている。



経済効率を求めるのであれば、決してこのようなスタイルは取らないであろうEASTEAST_TOKYO。武田は個人の意見としながらも、「東京という都市は効率化が強く求められ、アートで生き残れるものは限られてしまう。経済や効率にもなびかないアーティストたちが社会に存在することは必要であり、そのための場と時間をつくりたい」と、このフェアの意義をあらためて強調した。
日本のみならず、世界でもアートフェアは活況だが、マーケット優位のアート界の構造に疑問を抱くアーティストも少なからず存在する。そうしたなか、EASTEAST_TOKYOは次世代のアートフェアのあり方を考えるきっかけを提示するプラットフォームとして、今後も重要なプレーヤーであり続けるだろう。



















