愛知県が、愛知県美術館・愛知県陶磁美術館・愛知県立芸術大学の3施設が共同で利用する「美術品等共同収蔵庫」の整備を進める。収蔵庫不足が全国的な課題となるなか、県は2030年度の完成を目標に、複数施設の収蔵機能を束ねる全国初の共同収蔵施設を計画。たんなる保管拠点にとどまらず、保存や修復活動の一部を公開することで、美術館活動の裏側を学べる教育普及機能も担う「美術館のバックアップセンター」を掲げる。
ひっ迫する3施設の収蔵環境──「保存」が揺らぐリスク
計画の出発点は、県立3施設の収蔵スペースが限界を迎えていることにある。基本計画によれば、3施設はいずれも築30年以上が経過し、改修工事は行われてきたものの収蔵庫の増床は実現していない。収蔵容量が限界に近づけば、作品を適切な環境で保管できなくなり、破損やカビの発生リスクが高まる。美術館活動の根幹である収集・保存に支障が生じかねないとして、県は「早急に収蔵スペースを確保する必要がある」としている。
基本計画は、3施設の現状も具体的に示す。収蔵庫面積は愛知県美術館が1万8236平米、愛知県陶磁美術館が1946平米、愛知県立芸術大学が536平米。所蔵品数はそれぞれ約9100件、約8800件、約1900件で、増加ペースは美術館が年約120件、陶磁美術館が年約170件、芸術大学が年約10件とされる。現代美術で大型作品が増えるなど、今後各館の既存収蔵庫では保存が難しい作品も想定されるという。
計画地は常滑市にある旧愛知県立常滑高校跡地だ。県立3施設からはおおむね30〜40キロ圏で、交通アクセスも考慮した立地だ。近年、美術館・博物館が津波や豪雨等で浸水被害を受けていることにも触れ、候補地選定では防災能力も重視したとしている。
窯業画地の半径1キロ圏内には「INAXライブミュージアム」や「とこなめ陶の森」があり、陶芸研究所本館(堀口捨己設計、登録有形文化財)といった建築・文化資産がある。こうした周辺環境の良さも計画では強調されている。さらに、半径約4キロ圏内には中部国際空港セントレアと愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)が立地し、観光・交流の導線も見据える。整備計画地は常滑市都市計画マスタープラン上「観光交流拠点」に位置づけられ、共同収蔵庫の整備は、将来都市構造の実現に寄与するものだという。
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