江戸から財閥解体まで、三井の歴史資料1万5000点がオンライン公開。三井文庫初のデジタルアーカイブ事業が始動

三井グループおよび公益財団法人三井文庫が、三井グループ350周年を記念した「三井文庫所蔵史料デジタルアーカイブ事業」の一環として、所蔵する貴重な歴史資料約1万5000点の画像公開を開始した。江戸時代の総決算帳簿から近代の財閥最高意思決定機関の記録まで、日本の企業史・経済史を紐解く一級の史料が世界に向けて無料公開される。

公益財団法人三井文庫の三井文庫(資料館)ウェブサイト(https://mitsui-bunko.or.jp/archives/)

 社会経済史資料の保存・研究をおこなう史料館と、東京・日本橋の三井記念美術館からなる非営利の研究機関「三井文庫」。同文庫が、2023年より5ヶ年計画で進めてきた大規模なデジタル化プロジェクトの一環として、初のオンライン公開へと踏み出した。

江戸の都市空間から、財閥の最高機密まで

 今回のアーカイブ化は、現物資料の経年劣化や災害のリスクから史料を守る「資料保全」と、国内外の研究者や一般層への「利活用」を同時に推進することを目的に設計されている。

 公開される史料の範囲は、江戸時代の商いから明治以降の財閥形成、そして戦後の財閥解体に至るまでの帳簿、規則、図面、書状など多岐にわたる。江戸時代の貴重な史料としては、1710年から約160年間にわたる事業の推移を記録した三井の総決算帳簿《大元方勘定目録》や、江戸・京・大坂・松坂の全所有地を網羅した《家有帳》、さらには江戸の町屋敷の構造を伝える《抱屋敷絵図》などが並ぶ。これらは、経済史のみならず建築史や都市空間研究の観点からも極めて価値が高い。

 また近代の史料として、旧三井物産本店の業務日誌《日記》や、大正13年(1924年)から昭和15年(1940年)までの三井財閥の重要な意思決定を克明に捉えた三井合名会社の《理事会記録》も公開。これまで限られた研究者しかアクセスできなかった歴史の舞台裏が可視化される。

学術研究から教育現場、一般の探究まで広く開かれた場へ

 本事業では最終的に約3万点のデジタル画像化を目指しており、今回の1万5000点の公開はその第1弾となる。

 三井文庫は、このデジタルアーカイブが国内外の専門的な研究のみならず、学校の教育現場における教材としての活用、さらには自身のファミリーヒストリーを探究する一般ユーザーまで、幅広い層に開かれたプラットフォームとなることを想定している。

 利用は無料(事前登録制)となっており、言語や場所の壁を越えて、日本の経済・文化の基盤を築いた巨大商家の足跡を誰もが辿ることができる試みとなりそうだ。