舞台はサイ・トゥオンブリーの邸宅。ヴァレンティノがアーティストの「聖域」を舞台にした最新ビジュアルを公開

ヴァレンティノが、サイ・トゥオンブリーが30年以上にわたって創作の拠点としたイタリア・バッサーノ・イン・テヴェリーナの邸宅を舞台とする2026年プレフォールキャンペーンを発表した。

 ヴァレンティノ(Valentino)が、2026年プレフォールキャンペーンを公開した。今回の舞台となったのは、アメリカ抽象表現主義を代表するアーティストのひとり、サイ・トゥオンブリー(1928〜2011)が1975年に購入し、30年以上にわたって暮らしたイタリア・バッサーノ・イン・テヴェリーナのパラッツォだ。

 プレスリリースによれば、この邸宅はトゥオンブリーにとって「創造的な実験の場」であり、都市の喧騒から離れた「聖域」だったという。多孔質の石灰岩の壁に囲まれた空間には、いまなお「過去の痕跡や筆致」が刻まれ、アーティストの存在が建築そのものに織り込まれていると記されている(現在は芸術文化の発信を目的とするアイリス財団の拠点として活用)。

 クリエイティブ ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレは、この邸宅をたんなる背景ではなく、「まなざしの系譜を再び活性化する存在」と位置づける。遡ること1968年、写真家ヘンリー・クラークはUS版『ヴォーグ』のため、 サイ・トゥオンブリーとタチアナ・フランケッティが暮らしたローマのアパートでヴァレンティノ・ガラヴァーニによるホワイトコレクションの撮影を手がけた。今回のキャンペーンは、アーティストのもうひとつの住まいを舞台に展開するものであり、距離と連続性を同時に視覚化する試みだという。

 今回のビジュアルでは、身体は静的に配置される存在ではなく、空間を横切り、揺らぎ、攪乱するものとして描かれる。ありのままの髪、定まらない視線、揺れるファブリックなどを通じて、トゥオンブリーの作品世界にも通じる不安定さや詩的な感覚が強調された。そこでは、ファッション写真という形式を超え、建築、記憶、身体性が複雑に交差する空間が立ち上がる。

 また、キャンペーン映像では、存在や記憶、運動が絶えず絡み合う流動的な状態が表現されている。

編集部