「逗子アートフェスティバル2026」会場レポート。築87年の歴史的建造物がアートの舞台に【5/5ページ】

ギャラリーの外へ。街に息づくアートのかたち

 街なかの展示は写真に限らない。逗子を拠点に活動する山田美優は、JR逗子駅前の工事壁やAMIGO MARKETで作品を発表している。

AMIGO MARKETは併設するホテルや映画館の売店として映画のグッズや飲食物を販売している
AMIGO MARKETでの山田美優の展示風景 左側手前が《Clouds above the clouds》(2026)

 山田は、都市と自然、自己と他者のあいだにある曖昧な境界を主題に、砂や絵具などを用いた作品を制作してきた。今回の「Landscape」(2024〜2026)では、風景を単に自然の眺めとしてではなく、人や植物、食べ物、建築、記憶などが交わりながら生まれるものとして捉えている。

CINEMA AMIGOでは、アート、建築、音楽、歴史などを主題とした作品が上映されている

 また、CINEMA AMIGOをはじめとする街の文化拠点も、芸術祭における重要な場所となっている。逗子アートフェスティバルは、市民の有志によって始まり、地域の人々や施設、アーティストたちの協働を通じて継続されてきた。今回のように美術館やギャラリーだけに限定されない会場構成は、その成り立ちとも関係している。

芸術祭のフィナーレは海から山へ

 芸術祭最後の週末となる10月24日〜25日には、池子の森自然公園で「池子の森の音楽祭」が開催される。9回目を迎える同音楽祭には、七尾旅人、二階堂和美、TENDREら多彩なミュージシャンが出演する。

 最終日の25日には、特別企画「多者の音〜海から森へ、街が鳴る〜」を実施。「切腹ピストルズ又の名を江戸一番隊」が逗子海岸から池子の森自然公園まで、街を練り歩きながら演奏する。海から市街地を経て森へと至るこの企画では、音楽とともに街そのものがパフォーマンスの舞台となる。

 歴史的建造物の内部から、駅前の工事壁や図書館、ギャラリー、飲食店へ。逗子アートフェスティバル2026では、作品が様々な場所に置かれることで、その土地に蓄積された歴史と、現在の人々の営みとが交差する。「はじまりの未来、はじまりの場。」というテーマは、過去の時間を振り返るだけでなく、いま、この街で生まれつつある人やものとの関係にも向けられている。

編集部

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