ヤドカリの夢、自然を観測する視線
逗子に暮らすアーティスト、仲本拡史が発表する《アーマンヌイミ(ヤドカリの夢)》(2026)は、沖縄から逗子へとつながる歴史の記憶を、生物の移動や環境の変化と重ね合わせるインスタレーションだ。


本作の着想源は、仲本の曽祖父が沖縄の離島で目撃し、その後も夢に見続けたという光景。巨大なヤドカリが、海岸に漂着した遺体を食べていたというその記憶を手がかりに、仲本はアフリカマイマイの殻を背負ったオカヤドカリの映像などを、旧本多邸の寝室とシャワー室に投影する。
これらの作品には、温暖化による生物の生息域の変化を背景として、将来、逗子でも出会うかもしれない生物たちの姿が示されている。沖縄から横須賀、逗子へと連なる土地の歴史と、人間以外の生物の移動が、過去と未来をまたぐ時間のなかで重ねられる。

いっぽう、人間が自然をどのように捉え、理解しようとしてきたのかという問いを扱うのが、尾潟糧天の作品だ。尾潟はドローンを用いた撮影やフィールドワーク、数学的なシミュレーションなどを通じて、海や森林、波や風といった自然現象をモチーフに制作を続けている。
会場には波の形状を表現した立体作品《1-3-4 (138°49'20.58" E 34°36'40.35" N)》(2026)や、森林を捉えた平面作品《Midground #17》(2024)、モニターを用いた映像作品《Solaris L》(2024)など、異なるメディアを横断する作品が並ぶ。森林を描いた《Midground #17》は窓の前に設置され、窓外に広がる実際の緑と重なるよう配置されている。自然を観測し、記録し、再構成する複数の手法を通じて、私たちが風景を認識する仕組みに目を向ける。
自然を記録する造形と、その場所に存在する自然。両者を同じ空間に置くことで、自然を観測する人間の視線そのものが主題として浮かび上がる。



















