茶碗の「空」に流れる時間を見つめる
いっぽう6階では、茶の湯の伝統と現代美術との交わりに焦点を当てる新たな取り組みの第1弾として、「時のうつほ」を開催。360年以上続く茶陶の名窯・大樋焼の家系に生まれ、建築と陶芸の双方を学びながら制作を続けてきた陶芸家・建築家の奈良祐希がキュレーションを手がける。

本展のキーワードとなるのは、器の内側にある空洞を意味する「うつほ」。作品をおおむね年代順に配置し、「沈黙」「受容」「変容」「解放」の4章を通じて、器の内側に生み出されてきた「空」が、時代とともにどのように変化し、拡張してきたのかをたどる。


樂一入(四代)(1640〜96)や初代大樋長左衛門(芳土庵)(1631〜1712)、樂慶入(十一代)(1817〜1902)、黒田泰蔵(1946〜2021)、樂直入(十五代)(1949〜)、大樋長左衛門(十一代)(1958〜)、樂吉左衛門(十六代)(1981〜)といった作家に加え、シオ・クサカ(1972〜)、桑田卓郎(1981〜)、シアスター・ゲイツ、三嶋りつ惠(1962〜)、安永正臣(1982〜)、奈良祐希(1989〜)らの作品を紹介。桑田卓郎《茶垸 / Teabowl》(2016)や奈良祐希《Bone Flower》(2022)など、茶陶の歴史と現代の表現を横断する作品が並ぶ。
また館内の茶室「幹槐庵」では、樂直入(十五代)、国松希根太(1977〜)、イサム・ノグチ(1904〜88)、アリシア・クワデ(1979〜)、奈良祐希らの作品も展示。茶陶に受け継がれてきた時間と、同時代の作家たちによる表現を重ね合わせながら、器と「空」をめぐる系譜を浮かび上がらせる。
2024年の開館以来、収蔵作品を軸に展示を展開してきた同館。今回のリニューアルでは、外部のキュレーターやアーティストによる視点を取り入れながら、コレクションの新たな組み合わせと見せ方を提示する。今後、850点を超える収蔵作品からどのような展示が組み立てられていくのか、その展開にも注目したい。
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