今週末に見たい展覧会ベスト20。ゴッホ、柚木沙弥郎、アンチ・アクションに大カプコン展まで【3/6ページ】

「TOKYO ART BOOK FAIR 2025」(東京都現代美術館

 東京都現代美術館の「TOKYO ART BOOK FAIR 2025」は12月21日まで。15回目を迎えるTOKYO ART BOOK FAIR(TABF)は、今年初めて2週末にわたって開催されている。週末ごとに出展者を入れ替え、アート出版の国際的なコミュニティを広く受け入れるプラットフォームとなっている。

 本展では、国や地域の出版文化を紹介する「ゲストカントリー」企画の第9回としてイタリアを特集する。展示では、1966〜77年にイタリアで制作された新聞や雑誌、パンフレットなどを収録した『YES YES YES Revolutionary Press in Italy 1966–1977』と、1978〜2006年に刊行されたZINEを紹介する『OUT OF THE GRID: Italian Zines 1978–2006』を通じて、イタリアのインディペンデント出版の歴史をたどる。また、イタリアのデザインにおける企業と出版の関係性を探る展示「Marchette」や、ブルーノ・ムナーリ、エンツォ・マーリ、エットレ・ソットサスらの絵本を刊行するCorraini Edizioniによる展示も行っている。

 さらに、世界の難民のポートレートや「大切なもの」を記録したホンマタカシの作品展、Pace Galleryによる展覧会インビテーションや図録などの印刷物アーカイブの展示も開催。加えて、ブルーノ・ムナーリ、中村至男、デヴィッド・ホーヴィッツの3名によるオリジナルラッピングペーパーを使用した「BOOK WRAPPING CORNER」も登場した。

会期:2025年12月11日~12月14日、2025年12月19日~12月21日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:12月19日は12:00〜19:00、12月20日〜12月21日は11:00〜18:00  ※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1000円(オンラインチケット・日時指定)/小学生以下 無料(詳しくは公式サイトを確認してほしい)

「夢の江戸へ―美人画と歴史ロマン」(町田市立国際版画美術館

水野年方 三十六佳撰 くつわや 明和頃婦人 1893(明治26) 町田市立国際版画美術館蔵 後期展示

 東京・町田市の町田市立国際版画美術館で、特集展示「夢の江戸へ―美人画と歴史ロマン」が開催されている。会期は12月21日まで

 浮世絵は江戸時代初期に誕生して以来、浮世すなわち当世を題材とし、遊郭の花魁や芝居町の歌舞伎役者といった当代のスターたちを描き続けた。明治時代になると、政府による極端な欧化政策に対する反動として、江戸時代を懐古する風潮が生まれた。世間の感情を敏感に察知し、その需要に応じてきた浮世絵のなかにも、過ぎ去った時代を題材とする作品があらわれ始める。

 本展では、月岡芳年(1839〜92)と水野年方(1866〜1908)による美人画を紹介。明治時代に活躍したこのふたりの浮世絵師は、師弟の関係で結ばれながら多くの共通する画題に取り組み、江戸時代の女性像もそのひとつであった。しかしながら彼らが描いた江戸は、必ずしも正確な歴史理解にもとづくものではない。そこに表されたのは江戸時代を理想化した姿であり、史実にしばられない「夢の江戸」とも言える世界である。芳年と年方の没後、浮世絵は急速にその姿を消していった。本展を通じて、浮世絵最後の傑作を堪能してほしい。

会期:[前期]2025年9月26日~11月9日、[後期]2025年11月11日~12月21日
会場:町田市立国際版画美術館
住所:東京都町田市原町田4-28-1
電話:042-722-3111(町田市代表電話)
開館時間:10:00~17:00(土日祝~17:30)※入場は閉館の30分前まで
観覧料:無料

「甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)」(武蔵野美術大学 美術館・図書館

 東京・小平の武蔵野美術大学 美術館・図書館で「甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)」が12月21日まで開催されている。

 本展では、1960年代以降のデザインと建築における「ポストモダン」の潮流を、倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治の3人の仕事を中心に紹介している。

 商業主義の中で時代を批評するインテリアデザインを展開した倉俣史朗、紙製ショッピングバッグをパロディ化した磁器シリーズ「クリンクル」を発表した小松誠、人間・自然・社会の共生を建築で示し続ける髙﨑正治。彼らの造形活動を通して、ポストモダンの思想が21世紀においていかに有効であるかを問うている。

会期:2025年11月24日~12月21日
会場:武蔵野美術大学 美術館・図書館
住所:東京都小平市小川町1-736
電話:042-342-6003
開館時間:10:00~19:00(土・日・祝は〜17:00)
観覧料:無料

「ひと、能登、アート。」(石川県立美術館

 石川県立美術館で「令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨 復興支援特別展 ひと、能登、アート。」が12月21日まで開催されている。なお、本展は国立工芸館(12月9日〜2026年3月1日)、金沢21世紀美術館(12月13日〜2026年3月1日)でも開催されているが、石川県立美術館での展示は21日まで。

 本展は、2024年1月に発生した能登半島地震および9月の奥能登地域における豪雨災害により被災した人々に寄り添い、復興を支援する思いを込めて開幕した展覧会だ。

 今回の展示では、東京所在の美術館・博物館が連携し、本事業趣旨に賛同する各館が自ら選定した文化財を展示。文化財は、復興を支援する思いを込めた作品として金沢市内の各施設で紹介されている。また、能登に生まれた桃山絵画の画家・長谷川等伯による国宝《松林図屛風》を題材とした映像コンテンツ事業や、石川県内での普及事業(訪問授業)も実施。長い時間を経て受け継がれてきた文化財と、それらに込められた思いを、被災者への励ましのメッセージとして提示している。

会期:2025年11月15日~12月21日
会場:石川県立美術館
住所:石川県金沢市出羽町2-1
電話:076-231-7580
開館時間:9:30~18:00 ※入室は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生以下 無料 ※能登(内灘町以北)の方、被災後に能登から移住された方は無料