今週末に見たい展覧会ベスト20。ゴッホ、柚木沙弥郎、アンチ・アクションに大カプコン展まで【2/6ページ】

「野村正治郎とジャポニスムの時代―着物を世界に広げた人物」(国立歴史民俗博物館

第2章展示風景。呉春筆《楼閣山水模様小袖》(右)や酒井抱一筆《梅樹下草模様小袖》(重要文化財、中)が並ぶ

 千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館で、企画展示「野村正治郎とジャポニスムの時代―着物を世界に広げた人物」が開催されている。会期は12月21日まで。会場レポートはこちら

 本展は、国立歴史民俗博物館が所蔵する「野村正治郎衣裳コレクション」を通じて、野村正治郎(1880〜1943)の人物像を紹介するもの。正治郎は京都の美術商であり、着物を中心に近世日本の染織品を精力的に収集し、一大コレクションを築き上げた。「野村正治郎衣裳コレクション」には、着物や「時代小袖雛形屛風」、袖形に装幀された小袖裂など、1000点を超える服飾品や装身具が含まれている。

 正治郎が活躍した時期は、欧米においてジャポニスムが隆盛をきわめた時代にあたる。展示の第1章では、美術商として西洋人を相手にした販売戦略に焦点をあて、正治郎がいかにして着物の美を国外に広めたかをたどる。また、正治郎のコレクションは、風俗史研究や産業振興の観点からも高く評価されてきた。第2章では、コレクターとしての正治郎が日本国内における着物の重要性を啓発する役割を果たしていたことに着目している。

会期:2025年10月28日~12月21日
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
住所:千葉県佐倉市城内町117
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30~16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(休日の場合は開館し、翌平日)
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料

「ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光」(宇都宮美術館

ジャン=フランソワ・ミレー 無原罪の聖母 1858 山梨県立美術館

 栃木・宇都宮の宇都宮美術館で「ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光」が12月21日まで開催されている。会場レポートはこちら

 展覧会タイトルにもある「ライシテ(laïcité)」とは、フランス共和国における政教分離の理念を指し、国家が宗教から自律し、宗教的中立を保つ原則である。多様な宗教的背景を持つ人々が共生する社会において、その根幹をなす価値観のひとつとされている。

 本展は、フランス革命から20世紀半ばに至る時代に焦点をあて、信仰や社会の変化と深く結びついた美術作品を紹介。あわせて、当時の社会状況や宗教観の移ろいのなかで生まれた作品群を通じて、美術に内在する「聖性」の起源とその変遷をたどっている。

会期:2025年10月12日〜12月21日
会場:宇都宮美術館
住所:栃木県宇都宮市長岡町1077
電話番号:028-643-0100
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(10月13日、11月3日、11月24日は開館)、10月14日、11月4日、11月25日料金:一般 1200円 / 大学・高校生 1000円 / 小・中学生 800円

「もてなす美 ―能と茶のつどい」(泉屋博古館東京

展示風景より、《白紫段海松貝四菱唐花丸模様厚板》(17世紀、江戸時代)

 泉屋博古館東京で、2025年秋季 企画展「もてなす美 ―能と茶のつどい」が開催されている。会場レポートはこちら

 本展では、住友家歴代当主が育んできた能楽と茶の湯の文化に注目し、もてなしの場で使用された能道具や茶道具を紹介している。能関係の資料は、15代当主・住友吉左衞門友純(号・春翠)によって収集されたものが中心であり、能楽師・大西亮太郎の協力のもとに形成された。展示には、春翠が実際に着用して舞を披露したと考えられる装束や、7代当主・友輔がもちいたとされる能面など、住友家ゆかりの品々が含まれる。

 また、大西亮太郎は春翠の能の師であると同時に、茶の湯における交流の相手でもあった。大正期には春翠が主催する茶会に大西がたびたび参加しており、茶会記にはもちいられた道具が記録されている。こうした記録を通じて、春翠の美意識やもてなしの姿勢をうかがい知ることができる展覧会となっている。

会期:2025年11月22日~12月21日
会場:泉屋博古館東京(東京・六本木)
住所:東京都港区六本木1-5-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00~18:00(金〜19:00、入場は閉館の30分前まで)
料金:一般 1200円 / 学生 600円 / 18歳以下 無料