国立新美術館で「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」が開催。約400点を通じて森英恵のものづくりの全貌に迫る【3/3ページ】

 第4章「フランスの森英恵 オートクチュール」では、「刺す」「織る」「たたむ・重ねる」「墨絵」「花」「白と黒」「お嫁さん」など、技法や素材に注目したテーマをもとに、1977年のデビューコレクションから、2004年のファイナルコレクションまでが網羅的に紹介される。1977年、パリ・オートクチュール組合の正会員となり作品発表を始めた森の、アジア人初の快挙に注目しながら、オートクチュールならではの素材や技巧をつくした作品づくりの様子が紹介される。

ハナヱ・モリ ファイナルオートクチュールコレクション 2004年7月7日 提供:森英恵事務所
森英恵《イヴニングアンサンブル (ジャケット、ブラウス、スカート)》1977年秋冬 ハナヱ・モリオートクチュール 撮影: 小川真輝

 第5章「森英恵とアーティストたち」では、森英恵のクリエイションの誕生の鍵となった、多くのアーティストたちとの協業に焦点を当てる。本章では、松本弘子(モデル)、奈良原一高(写真家)、田中一光(グラフィックデザイナー)、岡田茉莉子(女優)、黒柳徹子(女優)、横尾忠則(美術家、グラフィックデザイナー)、佐藤しのぶ(オペラ歌手)らとの交流について、アーティスト本人所蔵の森の衣装や作品、また資料を通じて紹介される。

奈良原一高《森英恵》提供:島根県立美術館 ©Narahara Ikko Archives
アートディレクション:横尾忠則『流行通信』No.195、1980年4月 株式会社流行通信 島根県立石見美術館

 エピローグでは、生前、森英恵の近くにいた家族や友人へのインタビューを通じて、多角的に森の素顔に迫る。映像作家・現代美術家の志村信裕による本展のための撮り下ろし映像が上映されるため、こちらも要注目だ。

森泉《エピローグ》より 2025年 志村信裕
森星《エピローグ》より 2025年 志村信裕

編集部