「LOVE ファッション 私を着がえるとき」が東京に巡回。東京オペラシティ アートギャラリーで4月から【3/3ページ】

 「Chapter 3. ありのままでいたい」では、1990年代以降にプラダやヘルムート・ラングらが牽引した、自然体のリアルな体を主役にするミニマルなデザインの服や、ミニマル・ファッションの究極系とも表現できる、いわゆる「下着ファッション」を中心に展示。展示された服は、身近な友人との日常を切り取ったヴォルフガング・ティルマンスの写真や、現代社会を生きる女性のリアルを描写した松川朋奈の絵画と響き合う。

Nensi Dojaka ドレス 2021秋冬 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団
松川朋奈 それでも私が母親であることには変わりない 2018 個人蔵 撮影=加藤健 ©Tomona Matsukawa courtesy of Yuka Tsuruno Art Office

 「Chapter 4. 自由になりたい」は、アイデンティティの変容を描いた本作に触発されたコム・デ・ギャルソンの2020年春夏コレクション、コム・デ・ギャルソン オム・プリュスの2020年春夏コレクション、川久保玲が衣装デザインを担当したウィーン国立歌劇場でのオペラ作品《Orlando》(2019)の「オーランドー」三部作を一挙に紹介。異なる時代に制作された文学と衣服に通底する、アイデンティティの物語への普遍的な問いかけを探る。

Comme des Garçons (川久保玲) トップ、パンツ 2020春夏 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団

 最後となる「Chapter 5. 我を忘れたい」では、トモ・コイズミによるフリルとリボンを用いたモビルスーツのような愛らしい作品や、ロエベによるまるで唇に私の身体が乗っ取られてしまったかのような作品を紹介。服を着ることの一瞬のときめきや楽しさを伝えるとともに、服がつねに別の新しい服を求める欲望とともに発展してきたことを改めて提示。AKI IMONATAの《やどかりに「やど」をわたしてみる》などを提示し、着替えることの欲望をたどる。

Tomo Koizumi ジャンプスーツ 2020年春夏 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団
AKI INOMATA やどかりに「やど」をわたしてみる -Border- 2010/2019 京都国立近代美術館蔵 ©AKI INOMATA

 そのほか、各章では、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、横山奈美 らの現代美術作品が展示される。

編集部

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