「西川勝人 静寂の響き」(DIC川村記念美術館)
3月下旬での休館が発表されたDIC川村記念美術館で開催中の「西川勝人 静寂の響き」も、1月26日に閉幕する。レポート記事はこちら。
西川勝人は1949年東京生まれ。美術を学ぶため、関心を寄せていたバウハウス誕生の地ドイツに23歳で渡り、ミュンヘン美術大学を経て、デュッセルドルフ美術大学でエルヴィン・へーリッヒに師事する。1994年以降、ノイス市にあるインゼル・ホンブロイヒ美術館の活動に参画し、美術館に隣接するアトリエを拠点に活動。
自然との融合を意識したプロジェクトや、彫刻、平面から家具まで、異なる造形分野を横断しながら制作する。シンプルな構造と簡素な素材をもちい、光と闇、そのあいだに広がる陰影について示唆に富んだ作品を生み出し続けている。現在はハンブルグ美術大学名誉教授として後進の指導にもあたる。
本展は、1980年代より現在まで、一定して静けさという特質を保持し続ける西川作品の美学に触れる日本初の回顧展。彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約70点が作家自身の構成によって展示されている。
会期:2024年9月14日~2025年1月26日
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1800円 / 学生・65歳以上 1600円 / 高校生以下 無料
「田村友一郎 ATM」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)
茨城・水戸市の水戸芸術館現代美術ギャラリーで、アーティスト・田村友一郎の個展「田村友一郎 ATM」が1月26日まで開催されている。レポート記事はこちら。
田村は、これまで既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品を手がけてきた。写真、映像、インスタレーションからパフォーマンスや舞台まで、多彩なメディアを横断し、ある土地の持つ、固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで幅広い着想源をもとに、現実と虚構を交差させた多層的な物語を構築することで、既存の歴史や記憶へ新たな解釈を付与し、それらを現代へと接続する。
本展では、水戸芸術館現代美術ギャラリーの英語表記「Art Tower Mito」の略称「ATM」から着想を得た新作《ATM》を発表。来場者は、田村がこれまで書き綴った膨大なテキストを手がかりとして生成AIが創作するショートストーリーによって、田村の作品世界へと導かれる。
ナレーションや語り手を伴った物語、説話、エピソードのような形態で、ナラティヴな要素をもつ作品を構築してきた田村は、作品の出発点にはテキストの述作があると言う。新作《ATM》では、この述作という行為を生成AIに委ねることで、田村の過去作の断片をたどりながら新たな物語を紡ぎ出すことを試みる。
会期:2024年11月2日~2025年1月26日
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
電話番号:029-227-8111
開館時間:10:00~18:00
料金:一般 900円 / 高校生以下・70歳以上 無料
特別展「線表現の可能性」(国立国際美術館)
線という基本的な要素を通じて、芸術における新たな表現の可能性を探る特別展「線表現の可能性」が大阪の国立国際美術館で1月26日に閉幕する。レポート記事はこちら。
線描画は、かつては完成作のための習作や下絵として描かれ、対象の形態を明確に輪郭づけるためのデッサンとしての役割を担ってきた。しかし近代に入ると、線表現そのものに独立した価値が見いだされ、20世紀以降に誕生した抽象絵画では、線そのものが有している造形性に注目が集まるようになった。線は絵画の原点であると同時に、その表現領域を拡大し続ける、古くて新しいテーマとなっていった。
本展では、国立国際美術館の所蔵品のなかから版画・素描を中心に、絵画、彫刻、写真を加えた約150点を選び、現代美術における線表現の多様性を紹介。日頃、意識することの少ない線という存在が、人々の視覚にどのような作用を及ぼすのかを検証していく。
会期:2024年11月2日~2025年1月26日
会場:国立国際美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
電話番号:06-6447-4680
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00)※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1200円 / 大学生 700円 / 高校生以下・18歳未満、心身に障がいのある方とその付添者1名 無料
「コレクション1 彼女の肖像」(国立国際美術館)
国立国際美術館で、女性の姿をテーマに多様な女性像を浮き彫りにする「コレクション1 彼女の肖像」も1月26日まで。レポート記事はこちら。
本展では、国立国際美術館の所蔵品のなかから、女性の登場する作品に焦点をあて、章ごとに異なるテーマで紹介。記号化された女性像ではなく、個性や歴史を持った個人としての「彼女」の肖像に、現代の作家たちが何を託し、どのような社会や歴史、関係性が表象されているかに着目する。
また、20世紀半ばに活躍した女性デザイナー(山脇道子、シャルロット・ぺリアン)の活動に触発されたレオノール・アントゥネスのインスタレーションなど、昨年度新たに収蔵された作品もあわせて紹介。女性が直面する社会的な困難や多様な生き方を描き出し、鑑賞者に新たな視点を提供するものとなるだろう。
会期:2024年11月2日~2025年1月26日
会場:国立国際美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
電話番号:06-6447-4680
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00)※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 430円 / 大学生 130円 / 高校生以下・18歳未満、心身に障がいのある方とその付添者1名 無料