今年のテーマは「月へ行く30の方法」。恵比寿映像祭2024が24年2月に開催へ

東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場などを中心に「恵比寿映像祭2024 『月へ行く30の方法』」が開催される。会期は2024年2月2日〜18日。

恵比寿映像祭2024 メインビジュアル

 東京・恵比寿の東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場などを中心に「恵比寿映像祭2024 『月へ行く30の方法』」が開催される。会期は2024年2月2日〜18日。

 同映像祭は、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、多様化する映像表現と映像受容の在り方を問い直し、発信してきた。第16回目の開催となる恵比寿映像祭2024では、毎年設定されるテーマに加え、2023年より始まった新進気鋭のアーティストを取り上げる「コミッション・プロジェクト」も実施。その役割を強化するものとなる。

 2024年の総合テーマは「月へ行く30の方法」。これは、現代美術家・土屋信子によって開催された個展「30 Ways To Go To The Moon / 月へ行く30の方法」(2018)のタイトルに由来するものだ。同映像祭では、「月へ行く方法」という命題を、写真や映像を主とした様々な表現によってひも解き、アーティストだけでなく、そこに参加する観客とともに考えていく試みを実施。史的作品から現代作品まで、異なる角度からイメージの可能性を探るものとなる。

 アメリカのアポロ11号による月面着陸から半世紀以上が経ち、人々が気軽に月へ行くことも技術的に不可能ではなくなりつつあります。しかし、最先端の科学技術や理論以上に、一見それとは結びつかないようなアーティストたちの思考や実践が、新しい発見や創造につながり、月へ向かうための大きなヒントになるかもしれません。(プレスリリースより抜粋)。

 また、今回の映像祭の特徴となるのは、「映像の一回性に着目」する点にあるという。展示される作品群と観客との対話を生み出す新たな空間構成の在り方を試みるとともに、東京都写真美術館のコレクション作品と現代作家による作品を結びつけることで、作品の背後にある歴史や思想を遡り、現代を考察するきっかけを創出するという。

 参加作家は、荒木悠、金仁淑(キム・インスク)、青木陵子+伊藤存、荒川ナッシュ医、コリー・アーケンジェル、フェンバーガーハウス/ロジャー・マクドナル、リッスン・トゥ・ザ・シティ、トレイシー・モファット、中谷芙二子、関川航平、土屋信子、エヴェリン・タオチェン・ワン。

荒木悠 仮面の正体(海賊盤) 2023 恵比寿映像祭2023 コミッション・プロジェクト Photo:井上佐由紀
金仁淑 Eye to Eye 2023 恵比寿映像祭2023 コミッション・プロジェクト Photo:新井孝明
フェンバーガーハウス/ロジャー・マクドナルド フェンバーガーハウス 2013 Dome Temple installation in the Dome Photo:ロジャー・マクドナルド

 さらに、日本を拠点に活動する新進アーティストのなかからファイナリストを選出し、選ばれたアーティストに制作委嘱した映像作品を「新たな恵比寿映像祭」の成果として発表する「コミッション・プロジェクト」も実施。2024年は、第1回で特別賞を受賞した荒木悠、金仁淑による展示を、総合テーマと連動させながら具現化させるとともに、第2回のファイナリストも会期中に選出される予定だ。

 審査員は、沖啓介(メディア・アーティスト)、斉藤綾子(映画研究者、明治学院大学教授)、レオナルド・バルトロメウス(山口情報芸術センター[YCAM]、Gudskul Ekosistem キュレーター)、メー・アーダードン・インカワニット(映画・メディア研究者、キュレーター、ウェストミンスター大学教授)、田坂博子(東京都写真美術館学芸員、恵比寿映像祭キュレーター)。

恵比寿映像祭2023 特別賞受賞アーティストの金仁淑(キム・インスク)氏と荒木悠氏(左から)

 ほかにも、アートとデジタルテクノロジーを通じて、人々の創造性を社会に発揮するための活動拠点「シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]」と連携し、恵比寿ガーデンプレイスの中心に位置するセンター広場で、ジェネラティヴ・アート作品等の特別プログラムの上映も実施予定。個人によるオンラインの表現と都市空間をダイレクトに結びつけ、映像メディアの都市・社会における可能性を提示するものとなる。

 東京都写真美術館を中心に、様々な作品展示やプログラムが各所で展開される同映像祭。入場無料で鑑賞することも可能なため、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

編集部

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