日本画家たちが実際に訪れ、描いた場所を「聖地」とし、美術館での鑑賞体験を通じて「聖地巡礼」を味わう展覧会「日本画聖地巡礼 ―東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門―」が、東京・広尾の山種美術館で開催される。会期は9月30日~11月26日。
例えば、速水御舟の《名樹散椿》[重要文化財]は、京都の椿寺地蔵院の名木「五色八重散椿」を描いたものだが、実際の椿の姿と見比べると、その見え方をデザイン的に演出していることがわかる。
このように作品と現地の比較により、旅の追体験に加えて新たな発見を楽しむことが展覧会「日本画聖地巡礼」の醍醐味だ。ほかにも、鳴門海峡の渦潮を前に写生を繰り返した奥村土牛の《鳴門》や、定宿から見える京都の町家の光景を描いた東山魁夷の《年暮る》、樹齢1000年以上と言われる福島県三春町の「三春滝桜」を画題とした橋本明治《朝陽桜》などを展示。北海道から沖縄まで、日本各地を主題とした日本画の優品が紹介される。
さらに、画家が語った制作の経緯や現地でのスケッチ、写真などもあわせて展示。名画を通じた「聖地巡礼の旅」をより一層楽しむことができるだろう。