ニュースや戦争を描いた作品に触れ、過去、現在のアーティストが「出来事との距離」にいかに向き合ってきたかを探る「出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常」展が東京・町田市の町田市立国際版画美術館で開催される。担当学芸員は町村悠香。
ニュースや戦争を題材とした作品からは、時代や立場によって表現方法が違うことに気づかされたり、時間が経過することでようやく伝えられた出来事であることが読み取れるものがある。本展は、それらの視点から選定された同館のコレクションや若手作家による作品を約150点にわたって紹介するものだ。
会場は、1章「ゴヤが描いた戦争」2章「戦地との距離」3章「浮世絵の見立てと報道」4章「ニュースに向き合うアイロニー」5章「若手作家の作品から」の全5章で構成される。主な出展作家は、フランシスコ・ゴヤ、月岡芳年、小林清親、畦地梅太郎、浜田知明、馬場檮男、石井茂雄、郭徳俊、松元悠、土屋未沙、小野寺唯、ソ・ジオ。
なかでも本展で特集される松元悠は、メディアやSNSが伝えるニュースの現場を訪問。想像を働かせながら当事者のすがたを自画像で描くことで、日常と地続きにある「事件と人間の不可解さ」に分け入る作家だ。現代作家によるこの視点は、本展への理解をより深めるための注目ポイントとも言えるだろう。
なお、本展関連イベントとして、松元によるアーティスト・トークや担当学芸員の町村によるギャラリートーク、江澤隆行のピアノ演奏によるプロムナード・コンサートも実施されるほか、特集展示「大正・昭和初期の東京風景 織田一磨を中心に」(6月14日~9月24日)も同時開催となる。こちらもあわせて足を運びたい。