2022.12.4

森美術館開館20周年記念展。第2弾は、主題から制作までエコロジカルな展覧会

2023年に開館20周年を迎える森美術館。これを記念して、開館20周年展「私たちのエコロジー」が開催される。会期は2023年10月18日~2024年3月31日。

アグネス・ディーンズ 小麦畑̶対立:バッテリー・パーク埋立地(マンハッタン、ダウンタウン)―小麦畑に立つアグネス・ディーンズとともに
1982 Courtesy: Leslie Tonkonow Artworks + Projects(ニューヨーク) 撮影:John McGrail

 森美術館の開館20周年を記念して、開館20周年展「私たちのエコロジー」が開催される。会期は2023年10月18日~2024年3月31日。

 国際的なアートシーンで重要視なテーマである環境問題やエコロジー。本展はこの「エコロジー」を調和や循環として広くとらえ、人間同士のコミュニティ、 人間をも含む生態系、 人間が認知できない世界の在り様も包含する新しい「循環」の在り方について問題を提起するもの。

 タイトルの「私たちのエコロジー」 も、「私たちとは誰か、地球環境が誰のものなのか」という問いかけを内包しているという。 今回はまた、可能な限り輸送を減らして資源を再生利用するなど、エコロジカルな展覧会制作が試みられるという点にも注目だ。

 展示内容は、歴史的な作品から本展のための新作まで多種多様。地球温暖化と経済格差への抗議として資本主義を象徴するニューヨークのマンハッタンに小麦畑を出現させたアグネス・ディーンズの作品や、高度経済成長の裏で環境汚染が問題となった1950〜70年代の日本で制作・発表されたアートが展示されるという。

 「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」(2019〜2020)や「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(2022)など、ライフスタイルや近未来の人間像への考察を促す展覧会を数多く開催してきた森美術館。通過点であり節目である20年記念の展示において、未来の可能性がいかなる場で提示されるのか。期待して開幕を待ちたい。