ピーターラビットの世界から「最後の印象派」まで、今週末に見たい展覧会ベスト4

今週開幕した展覧会と3月27日までに終了する展覧会から、とくに注目したい4つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

アンリ・マルタン 二番草 1910年 個人蔵 (C) Archives photographiques Maket Expert

ピーターラビット™の誕生前夜から今日まで。「出版120周年 ピーターラビット™展」(世田谷美術館

 いまなお世界中で愛されるいたずらなウサギ、ピーターラビット™。ビアトリクス・ポター(1866~1943)によるシリーズ最初の絵本『ピーターラビットのおはなし』が2022年に出版120周年を迎えることを祝い、世田谷美術館で3月26日から「出版120周年 ピーターラビット™展」が開催される。

 本展では、物語の原点となった絵手紙や貴重な彩色原画など約170点を展示。『ピーターラビットのおはなし』からは、日本初公開の原画を含む彩色画全点を紹介し、作者が当初思い描いていた絵本のすがたを再現する。また、絵本のキャラクターを商品化するための特許を取得した最初の人物だと言われているポター自らが監修したぬいぐるみなど、100年以上前につくられた貴重なアイテムも公開される。

会期:2022年3月26日~6月19日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)※最新情報は展覧会公式サイトにて要確認
休館日:月(5月2日は開館)
料金:一般 1600円 / 65歳以上 1300円 / 大学・高校生 800円 / 小中学生 500円 / 未就学児無料

“最後の印象派”2大巨匠を見る。「シダネルとマルタン展」(SOMPO美術館

アンリ・ル・シダネル ヴェルサイユ、月夜 1929 個人蔵 (C) Yves Le Sidaner

 東京・新宿のSOMPO美術館では、「シダネルとマルタン展 -最後の印象派、二大巨匠-」が巡回し、3月26日に開幕する。

 19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍した画家、アンリ・ル・シダネル(1862~1939)とアンリ・マルタン(1860~1943)。印象派を継承しながら、新印象主義や象徴主義など同時代の表現技法を吸収して独自の画風を確立したふたりは、「最後の印象派」とも呼ばれ、当時のパリ画壇の中核に位置していた。

 本展では、世紀末からモダニズムにいたるベル・エポック期に独自の絵画世界を展開したふたりの道のりを、約70点の油彩・素描・版画で紹介。ふたりは深い友情で結ばれ芸術観を共有しながらも、マルタンは明るい光に満ちた水辺など南仏のまばゆい風景、シダネルは雪の夜や街の夜景といった柔らかな光と、異なる光の表現を追求していった。共通点や差異に注目しながら、その軌跡を追ってみたい。

会期:2022年3月26日~6月26日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(最終入館は17:30まで)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月
料金:一般 1600円 / 大学生 1100円 / 高校生以下無料

個人の冒険を描く3連作。ギルバート&ジョージ「CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY」(エスパス ルイ・ヴィトン東京

CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY 1986 エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2021)

 イギリスの現代美術を代表するアーティストユニット、ギルバート&ジョージの個展「CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY」が表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で3月27日に終了する。

 ギルバート&ジョージは、1967年にロンドンのセント・マーチンズ・スクール・オブ・アートでの出会いをきっかけに結成。パフォーマンスのほか、写真やビデオなど多様なメディアで作品を展開してきた。本展では、1986年の大型3連作《Class War, Militant, Gateway(階級闘争、闘争家、入り口)》が日本初公開されている。

 同作は、共同体への所属から、個人的良心や自己肯定の出現まで、個人の冒険を描くもの。イメージは黒枠の格子状に配置され、垂直的な「抑圧のピラミッド」を、一見階級によって分けられていないように見える社会の水平性へと置換して表現している。2009年以来となるアーティストの日本での展示の機会をお見逃しなく。

会期:2021年10月14日~2022年3月27日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル 7階
電話番号:0120-00-1854
開館時間:11:00~19:00
休館日:ルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる
料金:無料

正倉院宝物の再現模造が一堂に。「よみがえる正倉院宝物」(サントリー美術館

模造 螺鈿紫檀五絃琵琶 正倉院事務所蔵 ※全期間展示

 サントリー美術館では、天皇陛下の御即位をはじめとする皇室の御慶事を記念し、正倉院宝物の精巧な再現模造の数々を公開する特別展「よみがえる正倉院宝物 ―再現模造にみる天平の技―」が3月27日に閉幕する。

 正倉院宝物とは、正倉院正倉に伝えられた約9000件におよぶ品々のこと。1972年から宝物を管理する宮内庁正倉院事務所によって、材料や技法、忠実な再現に重点を置いた模造製作が行われるようになった。本展では、そのなかから選りすぐりの約100点を紹介する。

 8年がかりで完成した《模造 螺鈿紫檀五絃琵琶》など鮮やかな楽器類、東大寺ゆかりの仏具や箱・几(き)、鏡・調度品・装身具、武器・武具、正倉院文書など、人間国宝ら伝統技術保持者の技と、最新の科学技術の融合によって蘇った天平美を楽しみたい。

会期:2022年1月26日~3月27日
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4(東京ミッドタウン ガレリア3F)
電話:03-3479-8600
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)※いずれも入館は閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:火
観覧料:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

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