「京都学派」をテーマに。ホー・ツーニェンがYCAMで新作映像インスタレーションを発表

シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェンによる新作インスタレーションを発表する展覧会「ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声」が、山口情報芸術センター[YCAM]で開催される。会期は4月3日〜7月4日。

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 ホー・ツーニェンはシンガポールを拠点に活動し、歴史的・哲学的なテクストや素材から映像作品、インスタレーション、演劇的パフォーマンスなどを手がけるアーティスト。2011年のヴェネチア・ビエンナーレのシンガポール館での個展をはじめ、日本でも19年のあいちトリエンナーレなどで作品を発表してきた。

 その新作の映像インスタレーションを発表する展覧会「ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声」が、山口情報芸術センター[YCAM]で開催される。会期は4月3日~7月4日。

ホー・ツーニェン photograph by Matthew Teo, courtesy of Art Review Asia

 ツーニェンは近年作品を通して、東南アジアの歴史に深い関わりを持つ、第二次世界大戦期の日本についても取り上げてきた。本展では、哲学者の西田幾多郎や田辺元を中心に形成され、1930~40年代の日本の思想界で大きな影響力を持った「京都学派」にフォーカス。YCAMとのコラボレーションにより、VRとアニメーションで構成される新作《ヴォイス・オブ・ヴォイド ― 虚無の声》を発表する。

 同作の軸となるのは、「京都学派四天王」と呼ばれた西谷啓治、高坂正顕、高山岩男、鈴木成高によって真珠湾攻撃の直前、41年11月末に開催された座談会「世界史的立場と日本」。座談会の内容を中心に、4人と彼らを取り巻く人々が生み出した様々なテクストにアプローチする。

作品に登場するメカの3Dデザイン素材

 歴史上の人物やその逸話をもとに、公式に語られてきた歴史をイメージとテクストの集積によって紐解き、虚構や矛盾を含む複雑性をあらわにさせるツーニェンと、VRなどのテクノロジーを用いた新たな芸術表現を模索してきたYCAM。師と弟子、講演者と聴衆、加害者と被害者など、京都学派を取り巻く錯綜した関係を描き出す本展では、VRによる登場人物への同一化を通してより没入感のある「歴史の再演」を体験することができるだろう。

 なおBankART Temporary(ヨコハマ創造都市センター)3F ギャラリーでは、TPAM(国際舞台芸術ミーティング)のプログラムとして、同作のワーク・イン・プログレス展示も開催中(2月6日まで)。こちらもあわせてチェックしてほしい。

編集部

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