2021.1.5

絵画空間に再構築されるリアル。諏訪未知の個展「3つの世界」が開催中

自らの身体を通して認識できる世界を絵画空間に再構築する諏訪未知。現在その個展「3つの世界」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催されている。会期は1月31日まで。

諏訪未知 左《島 / Island》(2020) 右《対岸 / The other side》(2020)

 諏訪未知は、自らの身体を通して認識できる世界を絵画空間に再構築する作品を手がけるのアーティストだ。現在その個展「3つの世界」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催されている。会期は1月31日まで。

 諏訪は1980年神奈川県生まれ。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業後、2005年に同大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究領域を修了した。これまで東京で数多くの個展を開催してきたほか「TAMAVIVANTⅱ2018 Disséminationー散種」(多摩美術大学アートテーク、東京、2018)や 「絵画の現在」 (府中市美術館、東京、2018)、「VOCA展2020 現代美術の展望」(上野の森美術館、東京、2020)などの展覧会にも参加。現在は神奈川県を拠点に活動を行っている。

 本展のタイトル「3つの世界」は、エッシャーの同名の作品から着想を得ているという。その作品には、水の中と外というふたつの世界に加え、水面という境界が創り出す3つ目の世界が表現されている。いっぽう諏訪の制作は、自分の足元を見下ろす視点から始まる。足元にある様々なモノや、その先にある地面、あるいは地面から上空を見上げたときの凧などをじっと見つめることで解体し、それらが有するゆっくりとした時間をすくい取ろうという試みだ。

 それらの作品には、新鮮な違和感が表出する。諏訪が描く現象や時間を抽象化させた風景は、鑑賞者の素朴で根源的な好奇心を掻き立てるだろう。