ノルウェーのアーティスト、ペーター・モーハルのアジア初個展が、東京・馬喰町のKOKI ARTSで開催中。本展は、形式主義的な「筆跡絵画」シリーズの新作ペインティング8点で構成されている。会期は12月12日まで。
モーハルは1979年生まれ。2008年にオスロ国立芸術大学を卒業し、現在もオスロ郊外で制作を行っている。ノルウェー以外に、ニューヨークやトリノ、コペンハーゲンなどでも作品を展示。ウォールストリート・インターナショナル・マガジンやArtsy、ABSTRACT magazineなど数多くのメディアで取り上げられてきた。
様々なツールを用いて策略的にペインティングの複雑さを表現するモーハル。いくつかの異なるアプローチを通して絵画を素材として考察しているという。
「筆跡絵画」シリーズは、絵具の筆跡が鋳型によって増やされ、同一の筆跡が複数存在するペインティングだ。筆跡は規則的なパターンや構成でキャンバスに配置され、その構図はほか複数の作品において忠実に反復される。モーハルは、同シリーズを通じて、素材としての絵画の権威を考察し、色彩理論やかたち、空間条件について問いかける。同一の筆跡の鋳型により、直感と自発性の絵画構造を回避し、動作と動きの基本的要素の境界を広げる試みだ。
筆がキャンバスに触れるとどうなるかという、予測不可能な部分が取り除かれた同シリーズ。反復によって、従来の絵画に備わっているはずの手の動作そのものが排除されたときに生じる問題を考察する作品である。今回の新作では、テンペラ・グラッサという絵具を使用することで色のバリエーションが広げられている。