アレックス・ダッジ、益永梢子、荻野僚介、末永史尚によるグループ展「Ordinary objects」が、東京・神楽坂のMaki Fine Artsで開催されている。会期は12月20日まで。
ニューヨークを拠点とするダッジは、レーザーカットステンシルを用いて絵具をキャンバスに押し付けるという独自のプロセスを踏む。近年は「Whisper in My Ear and Tell Me Softly」(2018、Klaus von Nichtssagend Gallery、ニューヨーク)、「情報のトラウマ」(2019、Maki Fine Arts)と連続的に個展を開催。2018年から19年にかけて、ホイットニー美術館の展覧会「Programmed: Rules,Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」にも参加した気鋭の画家だ。その作品は、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館などに収蔵されている。
益永は、絵画を起点に多様な手法を用いて制作を行う。周囲の環境や空間との関係性を重視する作品群は、可変的で置換可能な性質を持っている。18年からは1年間、文化庁新進芸術家海外研修制度によりニューヨークのNARS Foundation主催のレジデンスプログラムに参加 。近年の主な展覧会に「Box, Box, Box」(Cooler Gallery、ニューヨーク、2019)、「クリテリオム93 益永梢子展 : Daily Routine」(水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室、2018)などがある。
色彩と形態の関係性を考察する荻野は、主に色面を用いた絵画作品を手がける。都内・地方問わず個展を開催するほか、近年は「引込線 / 放射線」(第19北斗ビル、2019)や「MOT コレクション ただいま / はじめまして」(東京都現代美術館、2019)など、注目の芸術祭や展覧会に連続的に参加してきた。
末永は、日常のなかのものや展示空間にかかわるものからピックアップした視覚的トピックをもとに絵画・立体作品を制作を行う。14年には、愛知県美術館で同館学芸員の副田一穂キュレーションのもと、個展「APMoA Project, ARCH vol.11 末永史尚『ミュージアムピース』」を開催し、実在する名画の額縁を描いた作品シリーズ「ピクチャーフレーム」を発表。20年のMaki Fine Artsでの個展で、同シリーズの新作を発表した。「アートセンターをひらく (第 I 期 第II期)」(2019~20、水戸芸術館 現代美術ギャラリー)や「百年の編み手たち - 流動する日本の近現代美術 - 」(2019、東京都現代美術館)といった展覧会にも精力的に参加している。
身近にありふれたものを作品の題材として、それぞれ異なるアプローチから絵画を生み出す4名。本展は、絵画について多角的な視点を得る機会となるだろう。