EXHIBITIONS

諏訪未知「3つの世界」

2020.12.23 - 2021.01.31

諏訪未知 左は《島 Island》、右は《対岸 The Other Side》 2020

 ペインター・諏訪未知(すわ・みち)の個展「3つの世界」がKAYOKOYUKIで開催される。

 諏訪は1980年神奈川県生まれ。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業後、2005年に同大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究領域を修了。身の回りにある物事や現象を真摯に見つめ、思考し、絵画に描くという行為を通して、現実世界を読み解くことを試みている。近年の主な展覧会に、「VOCA展2020 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」(上野の森美術館、東京、2020)、「絵画の現在」(府中市美術館、2018)など。現在は神奈川県を拠点に活動している。

 KAYOKOYUKIでの初個展となる本展は、諏訪が近年展開しているシリーズで構成。タイトルの「3つの世界」は、エッシャーが水のなかと外という2つの世界に加え、水面という境界がつくり出す3つ目の世界を表現した、同名の作品から着想を得ている。

 自分の足元を見下ろす視点から制作が始まるという諏訪。足元にある様々なもの、そしてその先にある地面、あるいは地面から上空を見上げたときの凧など、これらをじっくりと見つめることで解体し、それらが有するゆっくりとした、しかし確実に流れている時間を丁寧に掬い取っていく。

 自らの身体を通して認識できる嘘のない世界を、絵画空間に再構築した作品に対峙する時、鑑賞者は普段当たり前だと思っている世界に新鮮な違和感を覚えるだろう。諏訪が描く現象や時間が抽象化された風景は、私たちの素朴で、しかし根源的な好奇心を掻き立てる。