琳派は、17世紀初めの俵屋宗達、18世紀初めの尾形光琳らによって、当時の都であった京都の町人文化として誕生。19世紀初めに酒井抱一や鈴木其一らによって、将軍お膝元の江戸に引き継がれた装飾的美感を核として発展した都市の美術だった。
いっぽう印象派は、19世紀後半のフランス・パリを中心に起こったヨーロッパの近代美術。マネやモネ、ドガやルノワール、セザンヌらによって、日常的な経験を通して受ける印象や市民生活の喜びを率直に表現する新しい形式として、同時代の美術を象徴するものとなった。
このふたつに焦点を当てる展覧会「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」が、東京・京橋のアーティゾン美術館で開催される(11月14日〜2021年1月24日、会期中展示替えあり)。
本展では、同館コレクションの核となる印象派の名画と、初公開となる琳派作品を軸に、国内の寺院、美術館、博物館から代表的な作品を加えた約100点の作品で構成。俵屋宗達《風神雷神図屛風》(国宝)や、尾形光琳《孔雀立葵図屛風》(重要文化財)など国宝2点、重要文化財6点を含む日本とヨーロッパ、東西の都市文化が生んだ名画家たちの作品を通覧できる。
東西の美術を「都市文化」というキーワードで再考する本展。大都市ならではの洗練された美意識の到達点を比較しつつ見渡すことができるだろう。