パリ・オペラ座は、バレエダンサーにとって世界最高の舞台。その神話的な美しさを余すところなく写真にとらえているのが、パリを拠点にアメリカ、キューバ、そして日本へと活動の場を広げるピエール=エリィ・ド・ピブラックの「In Situ」3部作だ。
2013年から2シーズン、パリ・オペラ座バレエ団の公演会場であるガルニエ宮とオペラ・バスティーユの舞台裏に身を置き、ダンサーたちの生活に入り込んで制作された同シリーズは独特の美しさを放つ。そして今回、その中から選りすぐった作品が日本で初めて展示される。会場は銀座のシャネル・ネクサス・ホール、会期は2020年3月11日~27日。
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祖父のポール・デ・コードンが写真家だったために、昔より写真との結びつきが強かったピブラック。その後07年から10年にかけて本格的に写真に取り組んだ経験も、ピブラックと写真というメディアとの絆をより強固なものにしたという。
ピブラックは、その時々でテーマを追求し、それがルポルタージュであれ、抽象画的作品であれ、あるいは演出要素の強い表現であっても、慎重に機材を吟味しながら、ひとつの主題に数か月間専心して作品をつくりあげていく。同シリーズからも、ピブラックのパリ・オペラ座バレエ団への熱中ぶりがうかがえる。
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また3部作のひとつである「Confidences」シリーズは、バックステージやリハーサル中に撮影した写真で構成されている。ピブラックは、無音カメラと特殊レンズを用いることでダンサーたちに近づき、生々しくストレートな情感あふれるイメージを撮り下ろした。
また、薄暗い照明の中で撮影された抽象画を思わせる「Catharsis」と、壮観なガルニエ宮にダンサーたちが配置された「Analogia」は、ともにカラー作品でありながら、それぞれ異なる観点とフォーマットで制作されているため、その違いを楽しんでほしい。
そして、出展作品ではアンジュラン プレルジョカージュが振り付けを担当した『ル・パルク』や、ピナ バウシュの『オルフェオとエウリディーチェ』、勅使河原三郎の『闇は黒い馬を隠す』といった名作を、パリ・オペラ座ダンサーたちによるパフォーマンス・シーンとしてチェックできるのも見どころだ。