ピナ・バウシュの師匠、クルト・ヨースの傑作。反戦テーマの『緑のテーブル』が奇跡の再演へ

天才舞踊家ピナ・バウシュの師匠でもあるクルト・ヨースが振付を手がけた幻の傑作「緑のテーブル」。その待望の再演が、2019年3月30、31日の2日間、東京芸術劇場で行われる。

『緑のテーブル』より

 天才舞踊家ピナ・バウシュの師匠であり、ダンサー・振付家として世界的に知られるクルト・ヨース(1901~79)。その代表作のひとつである『緑のテーブル』が、14年ぶりに再演される。

 ドイツ人のヨースは戦前、ナチスからユダヤ人の作曲家フリッツ・コーエンとの絶縁を命じられ、それに叛いたことをきっかけに祖国からイギリスに亡命。戦後になりドイツに帰国し、フォルクヴァンク芸術大学でピナ・バウシェをはじめとする多数のダンサーの育成に心血を注いだ。

クルト・ヨースと、『緑のテーブル』にて“老母”を演じたピナ・バウシュによる稽古風景

 そんなヨースの傑作とされるのが、1932年にパリで初演された『緑のテーブル』だ。本作はその名の通り、「緑のテーブル」が舞台。ステージに置かれたこの緑のテーブルでは架空の国の国際会議が行われ、戦争について話し合う身勝手な指導者たちの衝突や、戦争を利用する者の暗躍、それに振り回される兵士やその家族の姿が描かれている。

『緑のテーブル』より
『緑のテーブル』より

 今回の再演に際し、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団名誉芸術監督のサー・ピーター・ライトは「指導者たちの議論はやむことがなく、被害者たちは死に誘われ、語られるのは戦争の無益さです。そしてその議論は、今日もなお続いているのです」とコメント。

 また、ダンサー・振付家の西島数博は「反戦というテーマを持つこの作品を、今を生きるダンサー達がどのような感性で演じ、どのようにお客様へ伝えることになるのか、とても興味深く感じています。平和会議という緑のテーブルですが、とても恐ろしい企みに見えるこの作品、スターダンサーズ・バレエ団が伝える強烈なメッセージを受け取り感じてほしいと思います」と語っている。

 初演から80年を経たいま、ヨースによる反戦のメッセージはどのように響くのか。そしてダンスが語るものとは何か。待望の再演に期待したい。

編集部

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