原田裕規による企画展「作者不詳」の第3弾。ブルーシートに置かれた「所有者不明の品々」が想起させるものとは
様々なメディアを用いて、批評の蓄積を変幻自在に操る美術家・原田裕規による企画展「作者不詳」の第3弾が、東京・恵比寿のCAGE GALLERYで開催されている。会期は12月2日まで。
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美術家・原田裕規による企画展シリーズ「作者不詳」の第3弾が、東京・恵比寿のCAGE GALLERYで開催されている。会期は12月2日まで。
2017年より、撮影者の特定できない写真を用いて、作者の不在について問いを深めながら本企画を展開してきた原田。第3弾となる本展では、「作者不詳」の写真にまつわる考察は継続しつつも、その関心を主題の周縁まで広げている。
今回は、廃棄された写真を集めるなかで、写真とともに手元へもたらされた布切れやカメラ、アルバムなどの物品を「所有者不明の品々」と呼び、遺留品を記録するように撮影。ブルーシートの上に置かれたこの「品々」は、かつての持ち主にはある物語を象徴し、固有の記憶を引き出すものであった可能性を想像できるいっぽうで、被写体に埋め込まれた意味そのものにはたどり着くことは不可能だろう。本展で原田は、そのような意味や物語、記憶の「作者不詳」を拾い上げ、鑑賞者に投げかけることを試みている。
また本展に合わせて、原田が書き下ろしたテキスト「波打ち際にて」を、ギャラリー発行のハンドアウト内に収録。このハンドアウトはギャラリー向かいのHender Scheme「スキマ」内で見ることができる。展示に際して原田が巡らせた思考の断片を感じ取りたい。