新しい「心霊写真」をつくる。
原田裕規が「心霊写真プロジェクト」最新作を名古屋で発表

社会の中で取るに足らないとされている「にもかかわらず」、広く認知されているモチーフを取り上げ、議論喚起型の作品を通して問題を提示する美術家・原田裕規。その原田が2012年より取り組む心霊写真のプロジェクトの最新作を紹介する展示が、愛知県名古屋市の山下ビルで開催される。会期は7月1日〜8月5日。

原田裕規 「心霊写真 / ニュージャージー」(Kanzan Gallery、東京、2018)での展示風景

 原田裕規は1989年山口県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。絵画、写真、インスタレーションなどに加えて、キュレーション、テキストライティング、書籍製作など幅広く行い、代表的なプロジェクトには「クリスチャン・ラッセン」や「心霊写真」を扱ったものがある。

 原田は2012年より「心霊写真」のプロジェクトに着手し、17年以降は、産廃業者や古物商らとともに写真捜索の活動をスタート。いつ・誰によって撮られたかがわらからない1万枚弱(2018年4月時点)の写真の山は、現在進行系でその規模を拡大させ続けている。

原田裕規 心霊写真#2

 18年4月に開催され、大きな話題を集めた個展「心霊写真/ニュージャージー」(Kanzan Gallery、東京)の続編に位置付けられる本展では、原田が居住していた「マツド(千葉県松戸市)」がテーマ。原田は、13年4月から18年6月まで生活を送った松戸市で撮影した写真を「自身が発見した写真(ファウンド・フォト)」と思い込み、自らが撮影した写真に向けられる愛着を疑い、架空の撮影者の気持ちを想像して書いた手紙を添えることによって、新しい「心霊写真」をつくり出すことを目指す。

原田裕規 「心霊写真/マツド」より

 これらの「マツド」をテーマにした新作は、マルチプル(ed.10)として会場で展示・販売。また、4月の個展で議論を呼んだ「写真の山」も再インストールして展示されるという。

 東京都外では初めて、心霊写真プロジェクトが公開される本展。問題提起する美術家・原田裕規による注目プロジェクトの最新版に注目したい。

原田裕規 「心霊写真/マツド」より

編集部

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