2018年から作家やキュレーターによるクロストークを行うなど、「『地域アート』はどこにある?」プロジェクトに取り組んできた青森の十和田市現代美術館。今回、その一環として展覧会「ウソから出た、まこと―地域を超えていま生まれ出るアート」が開催される。
本展では、フィクションをコミュニティに持ち込むことで現実を動かすアーティストによる実践を紹介。北澤潤、Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)、藤浩志の3組が、美術館の内外で展示を行う。
北澤潤は、自身が拠点とするインドネシアの乗り物を貸し出し、来館者が実際に乗ることのできるプロジェクト《LOST TERMINAL》を実施。この企画は市民と協働で運営され、当たり前と思っていた日常の風景を変化させるとともに、街を「活性化」する実験としての側面を持つ。
Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)は2006年に結成され、テレビ番組や架空の伝統料理などの「口実」を立ち上げることで、多くの参加者を巻き込むプロジェクトを行ってきた。今回はVRを用いて、目の前に起こる出来事とフィクションが混ざり合う空間をつくるという。
そして2014~16年に十和田市現代美術館の館長を務めた藤浩志は、自身をモデルにした架空の作家の活動を小説化し、実際の活動の痕跡を展示する。これまで、参加者が自発的に事を起こす「OS(オペレーション・システム)」としての作品を手がけてきた藤の歩みを見ることができるだろう。
本展ではそのほかにも、様々なゲストによるクロストークが開催。作家たちによる多様な実践を見るとともに、「地域アート」の射程を探る試みとなっている。