「地域アート」の射程を問い直す。藤田直哉、金澤韻、原田裕規らがクロストークを開催

青森県の十和田市現代美術館が「『地域アート』はどこにある?」プロジェクトのクロストークを実施する。本イベントは、評論家・藤田直哉が提唱した「地域アート」にまつわる様々な事象について、2日間にわたって語り合うもの。登壇者には、藤田のほか、林曉甫、⾦澤韻、原⽥裕規、藤井光、現代芸術活動チーム「目【mé】」、星野太など、今日のアートシーンにおいて、各方面で活躍する人物が集う。日程は11月3日・4日の2日間。

上段左から:林曉甫、藤⽥直哉、⾦澤韻、原⽥裕規 / 下段左から:目【mé】(本イベント登壇者は荒神明香、南川憲二)、藤井光、星野太

 「地域アート」とは、評論家・藤田直哉が2014年に発表した論考(「前衛のゾンビたち―地域アートの諸問題」『すばる』2014年10月号、集英社)の中で、近年、多数開かれている地域名を冠した芸術祭などのアートイベントを指す言葉として提示されたもの。

 その言葉に誘発されるように、いまもなお「地域アート」や、それにまつわる問題について多くの発言がなされ、ひとつの大きな現象が形成された。住民、コミュニティ、自治体、事業体をめぐって湧き起こる個人的な感情までもが含まれる「地域」という言葉。それを抱く「地域アート」という概念は、拡大解釈されながら語られている。

 「地域アート」と呼ばれる活動の形態も、国際芸術祭、地方芸術祭、アートプロジェクト、地方美術館のプロジェクト、ソーシャリー・エンゲージド・アート、サポーター活動、地域活性など、それぞれが少しずつ重なりあいながら、異なる性質を持つものだ。

 そこで青森県の十和田市現代美術館は「『地域アート』はどこにある?」プロジェクトの第1弾としてクロストークを実施。本イベントでは「地域アート」に関連する様々な概念を丁寧にすくい上げ、その意義、成果、可能性、問題点を洗い出すことによって、すべてがまとまって認知される現状に楔を打ち込むことを試みる。

 本来、「地域アート」が語ろうとしていたものは何か。その何かを「地域アート」と呼ぶべきなのか。今日のアートシーンで存在感を放つ人物が「地域アート」と呼ばれる事象について、2日間にわたって語り合う。

 初日は、藤田直哉のほか、林曉甫(NPO法人インビジブル理事長)、⾦澤韻(インディペンデント・キュレーター/十和田市現代美術館 学芸統括)、原⽥裕規(美術家)が登壇。2日目は、藤井光(アーティスト/映像作家)、現代芸術活動チーム「目【mé】」、星野太(美学・表象文化論専門)らが参加する。

 様々な立場から賛否両論あわせて語られ、その領域に関わる当事者の多さを物語る「地域アート」。その言葉の射程を再考する機会となるだろう。

編集部

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