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地域アート

Community-Engaged Art

 広義には、ある地域を舞台に展開されるアート・プロジェクト全般のこと。2014年、評論家の藤田直哉が文芸誌『すばる』誌上で「前衛のゾンビたち―地域アートの諸問題」を発表し、「ある地域名を冠した美術のイベント」と新しい定義を加えた。主なプロジェクトに「越後妻有大地の芸術祭の里」「瀬戸内国際芸術祭」「横浜トリエンナーレ」「あいちトリエンナーレ」など。

 藤田の論によれば、地域アートとアート・プロジェクトはほぼ同義であり、「同時代の社会に入り込んで個別の社会的事象と関わりながら展開される」ものである。地域アートにおいては、ボランティア、ワークショップの参加者、自治体職員、観客などイベントに関わる多様な人々が「芸術」の担い手と見なされ、人々のつながり、コミュニケーション、プロジェクトのプロセスそのもの、継続的な活動といったものが重視される。こうした特性から地域アートは、ソーシャリー・エンゲイジド・アート、リレーショナル・アートなどとも関連が深い。会場は美術館にとどまらず、廃校、オルタナティブ・スペースなどが活用され、野外展示が行われるケースも少なくない。

 同時に地域アートは「アートによる町おこし」といった趣きを持つ。政府による地方創生・文化政策の一環である場合、社会的な貢献を意識したプロジェクトが採用・実施されやすい傾向にあり、芸術の有用性をめぐって議論を呼ぶこともある。理論的なバックボーンとしてはニコラ・ブリオーの著書『関係性の美学』(1998)がしばしば参照されるが、地域アートの正当化に誤用されているといった批判も見受けられる。

文=中島水緒

参考文献
『地域アート 美学/制度/日本』(藤田直哉ほか著、堀之内出版、2016)